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【五代 豊楽焼 木具写 棗】 [おもろいで!幕末尾張陶]

今年は、昨年2月から展開しようと思っておりました、《おもろいで!幕末尾張陶 1》『御深井焼』を何か所かで行おうと目論んでおります。

昨年1月に完成しました、当店ミニ図録の内容のリアル展示版です。

2021年6月の名古屋美術倶楽部にて2年ぶりに開催される『名美アートフェア』にて、展示するのは決定なのですが、その前の5月に大阪でプレ展示をしようかなぁ、と思っておりますのでその節はまたお知らせ申し上げます。


さて、尾張徳川家といえば藩の御用窯であった『豊楽焼』も外せません。


今回はひさびさに、『木具写し』が手に入りましたのでご紹介致します。


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【五代 豊楽焼 木具写 棗】


幅  6.3㎝

高さ 6.6㎝

蓋 内側に金繕い有り

合わせ箱


製作年代 安政5(1858)~明治18(1885)年頃



尾張徳川家の御用窯であった豊楽焼は四代目(幕末期)に驚嘆すべき“木具写し”というものを創始しました。

それは陶器全体を漆で覆い隠し、まるで木製品のように作り上げたものです。


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木具写しは、溜塗をベースに蒔絵というものも多いですが、キンマ写しなどのさらに上手(じょうて)のものも存在し、珍重されております。

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丁寧な仕事ぶりです。色彩の落ち着き加減も絶妙です。


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形状までも再現し、蓋を開けたときにはじめてやきものと解る趣向で、織部風に絵付けを入れたものが定番です。国内だけでなく、海外の万博にも出品されたようです。


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繕い部分です。この様子では後キズというより剥落を押さえた感じですね。



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木具写しというものは、単に『色』だけで漆器を表現したのではなく、木工独自の丸みの出方などを研究して、陶器とはまた違うラウンドフォルムを取り入れることで、『わざとらしさ』を表に出ないように心掛けられております。


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底面 印部分です。



元々は、尾張唯一の楽焼窯として、その茶陶需要に応えておりましたが、江戸時代末期からの時代の変遷を見据えたのか、新たな挑戦は国内外に受け入れられ・・・木具写しの創始者である四代の養子となった五代はさらに技を加えた木具写し作品を多く製作しました。

人気であった故、各地に伝世しておりますが、時代と共に破損等もあり状態の良いモノが減りつつあるのが残念です。。。


このように、工夫と技術で明治維新を乗り越えた『豊楽焼』ですが、残念ながら大正期に八代目で廃窯となってしまうのです・・・。


※ご成約済み



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