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【二代 矢口永寿 色絵金銀菱 茶碗 一双 淡々斎 箱】 [茶道具]

『野々村仁清』、は現在にいたるまで・・・『仁清写し』というコトバと手法で伝えられて続けてきたことで、茶道界のみならず一般の方にまで知られる有名な名工です。

キレイな、とか色絵、という認識が多いかと思いますがその実、単色で侘びた色調ながら艶やかなデザイン、カラフルでありながら落ち着いたモダンな意匠、といった400年経った今でも十分通用する・・・という表現は適切でないでしょう。むしろ、時代の先に居て追いつけない、という気が致します。

仁清は、香山と同じく技術力と表現力を兼ね備えた職長格であり、仁清窯を運営していたという捉え方が正しいようです。そして、その仁清をリードしたのが『金森宗和』であったことも広く知られます。


金森宗和は飛騨高山城主の嫡男として生まれ、のちに京都に上り『後水尾天皇』らの 公家サロンに交わることで宮中における茶道に多大な影響を与えたといわれます。

雅味あふれる道具を好み、自身のイメージを実現すべく、野々村仁清を指導して茶陶を焼かせ・・ここに『仁清』というブランドが確立し、現代へと伝わることになるのです。

そんな、仁清の有名な作品の『写し』で、何人もの陶工がチャレンジする中でも秀逸な作品が手に入りましたので、ご紹介致します。




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【二代 矢口永寿 色絵金銀菱 茶碗 一双 淡々斎 箱】



大(金菱) 幅 10㎝ 高さ 8.2㎝ 高台径 5㎝

小(銀菱) 幅 8.8㎝ 高さ 7.8㎝ 高台径 4.8㎝


製作年代 昭和27(1952)~39(1964)年頃





この作品の写しは、道八家でも製作されておりますが・・・永寿の作品ではめずらしいものです。

しかも、本歌に倣って・・・大小の入れ子となっております。


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本歌は、公家や武家の好みを反映させたもので、金森宗和が東福門院(後水尾天皇の中宮、徳川二代将軍秀忠の娘)への献上品として製作を依頼した仁清の特別作品です。


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端正な轆轤挽きからの形成です。


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意匠化された菱文と連弁紋の組み合わせに仁清黒、が引き締めております。

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高台側です。


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淡々斎の箱があります。

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仕覆も添います。




そして、続きまして・・・小さい方のご紹介です。


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金に対しての銀の対比も面白いものです。

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こちらの方も仕覆と淡々斎の箱があります。


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それぞれ、の箱に一双を収める箱があります。



本歌は、MOA美術館に所蔵される重要文化財です。

東福門院から土井相模守へと譲られ、山澄力蔵を経て、平瀬家より益田鈍翁に伝わったのち、MOA
の所有となりました。


サイズは(大)が幅9.9㎝ 高さ9.2㎝、(小)が幅8.9㎝ 高さ8.1㎝で、ほぼ同じです。

しかし、大きな違いが有ります。


MOA所有の写真を参考に、比べてみましょう。


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お気付きになりましたでしょうか?



『金』と『銀』が逆になっているのです! 


さらに線の意匠取りを若干変化させております。


仁清作品は、石川県にもゆかりがあり・・・県立美術館に、有名な雉の香炉一対も所蔵されております。

そして、金沢も小京都といわれる土壌と、武家による茶道の発展、地元の工人たちの発展といった要素などと・・・仁清の置かれていた状況に通じるもがございます。


そういったバックボーンから生まれた、2代目矢口永寿の逸品作品なのです。



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