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【永楽保全(善五郎) 雲鶴青磁 丼鉢】 [幕末京焼]

先日行ってまいりました、こちらの展示会では・・・

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保全、和全の存命中に、直接収まってきた・・・三井家の永楽コレクションの優品が一堂に会しておりました。

湖南焼にしても、上がりは一般市場に出回る物とは一線を画するクオリティで・・・。


永楽家のパトロン的な存在として支えてきた三井家ならでは、といったところでしょう。


さて、そんなコレクションでも収蔵されてなさそうな・・・意外とレアなアイテムというものがあります。


『雲鶴青磁』


当方では、幕末京焼陶工による、『雲鶴青磁』をご紹介することがございます。


仁阿弥道八や眞葛長造が、それぞれの技法と解釈により、チャレンジをしてきております。


永楽保全もまた、しかり。



しかし、保全の雲鶴青磁手というのは、実は数がかなり少ないことが解ってきております。


永楽家の展観のものも含めて・・・当方が知る限りでは今回ご紹介するものを合わせて5点しか目にしたことがございません。(もちろん、それ以外の個体は存在するでしょうが)


澄んだ青磁を京焼界で登場するのは、明治以降の初代諏訪蘇山や初代宮永東山の登場をまたねばなりませんが・・・濁ったものは、青木木米等も製作しており、その半歩後の時代に・・・先述の幕末京焼三大名工により、雲鶴青磁が登場するのです。



それでは、作品のご紹介です。



保全 雲鶴青磁丼鉢 (4)-1.JPG



【永楽保全(善五郎) 雲鶴青磁 丼鉢】


幅  14.6cm×15.1cm 

高さ  9.4cm

高台径 7cm


文政10(1817)~天保14(1843)年頃

共箱



色の上がり、もかなり良く出ております。


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雲鶴青磁とは、12~14世紀の高麗のものです。

紋様を彫ったり型押しにより・・白土や赤土、黒土をは象眼したもので、よく知られる『飛雲』『舞鶴』の意匠から、『雲鶴青磁』とよばれるようになりました。


今回の京焼における、登場の事情と同じく・・・・

高麗の地でも、青磁の需要に対し焼成の困難さから、それを補う(ごかます?)為に生まれた表現技法であったと言われております。


意匠で散りばめられていれば、澄んだ青磁を表現する面積が減りますからね。(^^;


しかし、どんどん技術も退化していき・・・青磁色は、鼠色へとなっていき、李朝時代の高麗三島のような手へと変遷していきました。


雲鶴青磁の、綺麗でもあり、またそのどこか・・・親しみのある不出来さ?そして緻密な象嵌といった、様々なものの混在して生まれる魅力があったのでしょう。

幕末期に、入手困難であった『雲鶴青磁』への需要に応えて生まれたものが、京焼における雲鶴青磁写しなのです。


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内側の意匠の感じも、仁阿弥等と共通するところが有り・・・建仁寺辺りの所蔵の同じ個体の雲鶴青磁を、拝見させて頂き勉強したのかもしれません。


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サイズ感もほどよく、です。

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高台脇


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高台側です。

もちろん、小鉢としてのサイズの高台ですが・・・お茶碗として使ってしまいたくなりますね。


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『河濱支流』印です。


保全 雲鶴青磁丼鉢 (2)-1.JPG

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共箱です。

『善五郎』書きですので、文政10(1817)~天保14(1843)年頃と分類出来ます。


ここで、不思議が。

当方では、保全の雲鶴青磁を3点扱っております。


ひとつは、『保全』、ひとつは、『保全の湖南焼』、そしてこれが『善五郎』

時期や場所による、製作事情に拠っていないのです。


そして初期から既に完成されたクオリティとなっておりますのはさすが保全というところでしょう。


数が少ないことから、おそらく製作は困難な部類にあったこと、製作時期が一時期では無かったことから、注文によってのみ作られたであろうと推測されるのです。


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レアなアイテムのご紹介でした☆


※御成約済みです。

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