【二代 眞葛香山 仁清意初午画 茶碗 ~狐嫁入り~】 [眞葛香山]
初夏の気候の中・・・しとしと降る雨の日が少しづつ増えてまいりました。
梅雨入りの足音が聞こえてきた、というところでしょうか。
今日、ご紹介する作品は『雨』に纏わる物語。
【二代 眞葛香山 仁清意初午画 茶碗 ~狐嫁入り~】
幅 11.7cm
高さ 7.5cm
高台径 4.8cm
製作年代 大正末期頃
共箱
『狐の嫁入り』
お茶碗の画題としては、大変珍しいものです。
世界のマクズウェア、眞葛香山の二代目の作となります。
狐の嫁入り・・・天気なのに、雨が降っている様、を指すことを思い浮かべる方も多いと思います。いわゆる、不思議な現象ということで、まるで狐に化かされる?ということから・・また、虹が出やすいことから縁起の良いこととして捉えられております。
葛飾北斎による、狐の嫁入りの画です。
各地で、古来より狐の嫁入りの伝承は数々あるようですが・・・
元は「狐火」といって、冬から春先にかけての夜間、野原・山間などに多く見られている奇怪な青白い火が並んで発生することから、まるで『花嫁行列』のようだ、と云われました。
さらに、そこに『花嫁』が居ないことから、狐が化かして花嫁行列を作っている?という連想からの言葉のようです。
作品を見てまいりましょう。
眞葛窯らしい、『極彩色』にて『狐の嫁入り』が見事に描かれております。
共箱です。
『初午』と書かれております。
そもそも、狐の嫁入り?はいつの季節を現すものでしょうか?
日本各地で、狐の嫁入りを題目とした行事を見てまいりますと・・・二月だったり、五月だったり、また・・・六月の初夏であったり、はたまた豊作の十一月だったりと、まちまちなのです。
三重県では、節分の三日、厄年の男女がキツネの面を付けて新郎新婦役を演じる厄払い行事「狐の嫁入り道中」という行事もあるようです。
香山は、狐ということから・・『伏見稲荷』の二月最初の午の日に行われる『初午』を『狐』と関連させて題されました。
季節はさておき、『豊作の兆し』という意味にもなることから、吉祥の図柄なのです。
おや?やはりここにも『花嫁さん』は見えません。
化かされてしまいましたでしょうか?
それとも、狐火を見間違いましたか?
二代 宮川香山 1859(安政6年)~1940(昭和15年)
初代と共に作品を製作。海外へのマクズウェアの紹介と国内へのフィードバックにより、
眞葛の名声を揺ぎ無いものにした。
技術を継承しながらも時代の変遷に対応し、焼けない物は無いと言われる。
途絶えていた古伊賀釉の復活、千家の茶陶作製等も行い、関東陶芸界の重鎮であった。
注) 以前にご紹介しております、当店在庫の香山の『狐の嫁入り』茶碗とは別の個体です。
こちらは、淡々斎の書付がございません。また、意匠も若干異なるのです。
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2022-06-14 21:57
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