【抱桶 水指】 [茶道具]
新暦の7月・・・ちょっとまだ梅雨?というような雨も挟みつつ・・・大変湿度・気温の高い日が続いております。旧暦では、未だ『水無月』です。
2022年は6月29日~7月28日が水無月の旧暦6月にあたります。
水無月の『無』は『の』を指しまして、『水の月』という意味にもあたるようです。
田植えの時期でもあり・・・『水』というのもが様々なものに命を与え、また様々なことが生み出され、始まる・・・という風に感じられるものなのです。
とはいえ、実際の気候としては、梅雨が終わって日照りが続いて『水が無いな~』というシンプルな感じ方も、またしかり、ですね。(^^;
今回、ご紹介するお道具ですが、『水』をとても感じられるものです。
【抱桶 水指】
幅 16.5cm
高さ 19.5cm
製作年代 江戸時代後期頃
抱桶・・・『だきおけ』と読みます。
抱桶というものは、水を入れて手許に置い暑さをしのぐために、抱いたものであるといいます。
確かに、涼しい感じがします!
本歌・・・・というか、元の有名なものは、『書院茶道』が中心であった、鎌倉時代の足利義政が所持し、転用・使用して台子に合わせたものです。
南蛮毛織で、産地であるインドのムガール帝国の名をモールと訛ったことによるといわれ、染織品の名称であったものでしたが、金属を使用したものでも毛織(モール)と称するようになりました。
この有名なものは、足利義政が所持したものと伝えられ、のちに三条西実隆が藪内宗把にこれを譲り、その後、子が居なかった為、利休へと伝わります。
利休から再び藪内家の剣仲が引き継ぎ、燕庵名物として六代比老斎まで伝来したが、西本願寺文如上人に贈られ、以後は本願寺に伝えらましたが、のちに売り立てにより世に出てしまうことになりました。
さて・・その後、『草庵茶』へと移行し、台子中心から変化を遂げていった茶道の中で、抱桶水指は『涼』を感じさせるお道具として、マニアックながらも伝わり続けたのです。
『モール』のお道具らしく、『打ち出し』により丁寧に形成されております。
ディティールも、非常に端正に。
蓋との合口もしっかりしており、軽やかながらも『ぴっちり』、合体します。
状態は、大変良い方です。
底部です。
伝世箱
古代中国の端を発するの『五行説』というものがあります。
『相生』と『相剋』という二つ関係性があり・・・よく『相性がいい』といいますが、それは五行『相生』のことです。
『五行相性』をみてまいりましょう。
◎『木生火』(木は火を生ず)
木が燃えて火となり、木と木が擦り合わされて火となって燃えさかるという関係 (木→火)
◎『火生土』(火は土を生ず)
火が燃えたあとには必ず灰が残る。灰とはすなわち土のことです。
漢民族 が住みついた黄河流域は、文字通り一面の黄土と黄塵と黄色の濁流です。その黄土とグレイの灰とを同一視し、灰を土と考えたのです。(火→土)
◎『土生金』(土は金を生ず)
土が集まって山となり、山から鉱物(金属)が産出するという関係 (土→金)
◎『金生水』(金は水を生ず)
鉱物(金属)は腐蝕して水に帰り、また溶融すれば液体(水)になるという関係 (金→水)
◎水は木を生ず 『水生木』(水は木を生ず)
水を養分として木が生育する姿を示す (水→木)
この中からも、『金属』と『水』というのは深い関係にあり、相性がいいものなのです。
古(いにしえ)、の見立て道具というのも、深い意味も含めて大切に使われてきたものなのでしょう。
7月7日の『小暑』も過ぎ、『暑中』になりました。
涼しげなお道具にて、『暑中見舞い』申し上げます☆
※ご成約済みです。
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Journal of FUJII KOUNDO 《問い合わせ先》
藤井香雲堂
TEL 090-8578-5732
MAIL fujii-01@xc4.so-net.ne.jp
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2022年は6月29日~7月28日が水無月の旧暦6月にあたります。
水無月の『無』は『の』を指しまして、『水の月』という意味にもあたるようです。
田植えの時期でもあり・・・『水』というのもが様々なものに命を与え、また様々なことが生み出され、始まる・・・という風に感じられるものなのです。
とはいえ、実際の気候としては、梅雨が終わって日照りが続いて『水が無いな~』というシンプルな感じ方も、またしかり、ですね。(^^;
今回、ご紹介するお道具ですが、『水』をとても感じられるものです。
【抱桶 水指】
幅 16.5cm
高さ 19.5cm
製作年代 江戸時代後期頃
抱桶・・・『だきおけ』と読みます。
抱桶というものは、水を入れて手許に置い暑さをしのぐために、抱いたものであるといいます。
確かに、涼しい感じがします!
本歌・・・・というか、元の有名なものは、『書院茶道』が中心であった、鎌倉時代の足利義政が所持し、転用・使用して台子に合わせたものです。
南蛮毛織で、産地であるインドのムガール帝国の名をモールと訛ったことによるといわれ、染織品の名称であったものでしたが、金属を使用したものでも毛織(モール)と称するようになりました。
この有名なものは、足利義政が所持したものと伝えられ、のちに三条西実隆が藪内宗把にこれを譲り、その後、子が居なかった為、利休へと伝わります。
利休から再び藪内家の剣仲が引き継ぎ、燕庵名物として六代比老斎まで伝来したが、西本願寺文如上人に贈られ、以後は本願寺に伝えらましたが、のちに売り立てにより世に出てしまうことになりました。
さて・・その後、『草庵茶』へと移行し、台子中心から変化を遂げていった茶道の中で、抱桶水指は『涼』を感じさせるお道具として、マニアックながらも伝わり続けたのです。
『モール』のお道具らしく、『打ち出し』により丁寧に形成されております。
ディティールも、非常に端正に。
蓋との合口もしっかりしており、軽やかながらも『ぴっちり』、合体します。
状態は、大変良い方です。
底部です。
伝世箱
古代中国の端を発するの『五行説』というものがあります。
『相生』と『相剋』という二つ関係性があり・・・よく『相性がいい』といいますが、それは五行『相生』のことです。
『五行相性』をみてまいりましょう。
◎『木生火』(木は火を生ず)
木が燃えて火となり、木と木が擦り合わされて火となって燃えさかるという関係 (木→火)
◎『火生土』(火は土を生ず)
火が燃えたあとには必ず灰が残る。灰とはすなわち土のことです。
漢民族 が住みついた黄河流域は、文字通り一面の黄土と黄塵と黄色の濁流です。その黄土とグレイの灰とを同一視し、灰を土と考えたのです。(火→土)
◎『土生金』(土は金を生ず)
土が集まって山となり、山から鉱物(金属)が産出するという関係 (土→金)
◎『金生水』(金は水を生ず)
鉱物(金属)は腐蝕して水に帰り、また溶融すれば液体(水)になるという関係 (金→水)
◎水は木を生ず 『水生木』(水は木を生ず)
水を養分として木が生育する姿を示す (水→木)
この中からも、『金属』と『水』というのは深い関係にあり、相性がいいものなのです。
古(いにしえ)、の見立て道具というのも、深い意味も含めて大切に使われてきたものなのでしょう。
7月7日の『小暑』も過ぎ、『暑中』になりました。
涼しげなお道具にて、『暑中見舞い』申し上げます☆
※ご成約済みです。
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2022-07-12 14:44
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