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【眞葛長造 模礼寶三嶌 馬上盃】 共箱 香斎極め外箱 [幕末京焼]

『長造』の酒器は久しぶりかもしれません。


しかも、時代の主流に反して?たっぷりサイズの盃。

これは、『飾り応え』も『呑み応え』もばっちりの作品です。


では、ご紹介致しましょう。


長造 三嶋馬上杯 (5)-1.JPG



【眞葛長造 模礼寶三嶌 馬上盃】


幅  8.2cm 

高さ 6.5cm

製作年代 1800年代前半頃

共箱 香斎極め外箱





『礼寶三嶌』(れいひんみしま)を模して造られております。


朝鮮半島へ日本の使いとして渡った際に、朝廷への献上物として賜った器物に礼寶三嶌があります。

そういうものですから、大変上質なやきものであったうようです。


長造 三嶋馬上杯 (6)-1.JPG



長造 三嶋馬上杯 (7)-1.JPG


茶碗等が多い礼寶三嶌を盃として作品に落とし込んでおります。


長造 三嶋馬上杯 (8)-1.JPG

白土にて緻密な象嵌が為されております。


この頃・・・他の京焼名工たちも、三島に挑戦しておりますが、やはりそれぞれの個性というものは出るもので。

見慣れてきますと、区別が付いて参ります。

長造のは、やはり元が仁清等の艶やかなものが中心であったせいか・・・侘びの中に綺麗なすっきりな印象があるような気がするのです。


長造 三嶋馬上杯 (9)-1.JPG

サイズがたっぷりなのですが、『持ち手』もしっかり作られており・・・また、絶妙な重量感にて、置いてもしっかり安定します。


長造 三嶋馬上杯 (10)-1.JPG


後期になると、印は高台内に押される事も多いのですが・・・長造の初期作品であるこれには、ちょっと凝った『ひねり』がございます。


長造 三嶋馬上杯 (11)-1.JPG


見えにくいのですが、高台脇に・・・象嵌にて、印があるのです!


仁阿弥なんかが、よくやる手法ですね。


長造 三嶋馬上杯 (3)-1.JPG


長造が独自に開窯して、製作し始めた初期の作品です。


長造 三嶋馬上杯 (4)-1.JPG


長造 三嶋馬上杯 (2)-1.JPG

共箱の他に、5代目の京都 真葛香斎の極め外箱も添います。


長造 三嶋馬上杯 (5)-1.JPG


『馬』は、江戸時代迄は・・・今でいうとことの『車』と同じく、男性のあこがれのアイテムです。

馬上杯茶碗は、実際に馬上で喫する為に生まれたものですが・・・盃は、その形状自体を愉しんだり、馬への想いを募らせて大いに語ったり、したのでしょう。


その形状は、奇しくも・・・長造が世を去った数年後に訪れる、『明治』の世で…日本でも、広まっていく『ワイン』等の洋酒のうつわとして、馴染まれていくフォルムなのです。


馬上杯としては縦横比がおかしく、『盃としての用』を狙って作られた作品が、新時代への流れに合致したというのも、面白い、のです。





眞葛長造 

寛政9年(1797)~万延元年(1860)

青木木米の弟子で後、真葛ヶ原にて窯を開く。観勝寺安井門跡より「真葛」の号を賜り晩年華頂宮より「香山」の号を頂く。

江戸後期において仁清・乾山の再来というべき京焼伝統の継承者であり、特に藁灰釉によるといわれる独特の風合は長造特有であり、雅味溢れる作風で京焼の代表格の一端を担う。

眞葛焼の祖。



※御成約済みです。


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