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【二代 眞葛香山 仁清意菖蒲画 茶碗】 [眞葛香山]

江戸後期に京都の『眞葛ヶ原』にて青木木米に師事した『眞葛長造』が開窯し、『眞葛窯』が生まれました。

長造 ⇒ 長平(長造の長男) ⇒ 初代香山(長造の四男) ⇒ 二代香山(長平の子) ⇒ 三代香山(二代の子) ※四代香山(三代の弟)四代を数えるかどうかはさておきます。

という流れで江戸時代後期から、昭和時代の1945年まで続きました。


長造の頃に、代表作といえるお茶碗に『杜若』の意匠があります。

通常の碗形も存在しますが、やはり初夏の図柄であるからか・・『平茶碗』形状がメインとなります。


『仁清意』(仁清風)では平茶碗のみでしょう。


初代香山、二代香山もアプローチを変えつつも、眞葛焼としては三代にわたり継続されてきた意匠です。

今回は、二代の作品のご紹介です。


二代香山 仁清意菖蒲茶碗 (6)-1.jpg


【二代 眞葛香山 仁清意菖蒲画 茶碗】


幅   5.6cm x 4.7cm 

高さ  6cm

高台径 5.4cm

製作年代 大正後期

箱    共箱



やはり、大正に入りますと・・・抹茶茶道の復権により、『眞葛窯』でも茶道具の製作が多くなりました。

味わい深い・・・初代の作風に対して、二代の端正で丁寧なデザインと作行きは、現代ではスタンダードな部分でありますが、やはり色調等は独自の風合いの良さというものが確実に存在します。


二代香山 仁清意菖蒲茶碗 (7)-1.jpg


『藁灰釉』と呼ばれる、長造時代からのお家芸の薄いブルーがかった、やわらかくてほんのりした乳白色は、色絵のベースとして魅力的な釉調で、古いお道具との親和性も高いものです。


二代香山 仁清意菖蒲茶碗 (8)-1.jpg


鮮やかな、ブルーが映えており、対比する『銹絵』による葉っぱが、また良いのです。


二代香山 仁清意菖蒲茶碗 (9)-1.jpg

高台側です。




さて、ここで・・・よく混同される、『あやめ』と『菖蒲』と『杜若』の違いについて。


以前は、私も一緒と思っておりました。(^^;


整理してみましょう。




あやめ.jpg

【アヤメ】


花びらの付け根にご注目です。

模様が『網目状』です。

また、『陸地』に生えます。


咲くのは、『5月中旬~下旬頃』です。




しょうぶ.jpg

【菖蒲(しょうぶ)】



『黄色い模様』が入ります。


菖蒲は、『水辺』にて育ちます。


咲くのは、『6月~7月中旬頃』です。




かきつばた.jpg

【杜若(かきつばた)】



『白い筋』があります。

池や沼地のある、水の中にて生えるのです。


5月中旬頃です。




場所も、時期も、近いですが異なるのです!



さて。


二代香山 仁清意菖蒲茶碗 (2)-1.jpg


二代香山 仁清意菖蒲茶碗 (3)-1.jpg


共箱です。


『菖蒲画』となっております。


二代香山 仁清意菖蒲茶碗 (6)-1.jpg


ん?白い筋?杜若?


いえいえ、よくご覧くださいませ。


筋の部分は『抜き』になっており、『藁灰釉』なのです。


ですが、『白』と見立てて『杜若』なのだ!と使ってしまうのもアリかもしれません。


(そうなると使う時期が長くなりますね)



【二代 眞葛香山】

二代香山は眞葛焼の祖である長造の長男、長平の子であります。

長平が父長造と同じ年に無くなってしまった為、叔父である初代香山(長造の四男であり、眞葛焼の後継者)が母子ともにひきとり養子となります。

ゆえに、初代香山とは親子程年齢が開いておらず、製作も一緒に行っており、初代の技術はあますことなく会得しておりました。

また、海外の万国博覧会における眞葛焼の紹介や、海外の様々な趣向や技術を日本に伝え常に眞葛焼の進化を促し、世界のマクズウェアと呼ばれたのは二代の功績であります。

また、千家とのつながりを得、好み物のなど各種茶道具を作製。

板谷波山と並んで関東陶芸界の重鎮として君臨し、後進の指導にも尽力。

やきもので焼けないものは無いとまで云われました。

1940年(昭和15年)没。




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