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《OL:05》 【石田陶春 丹波茶入】 三ツ入り箱 替仕覆付 [ONEGORO LINE]


六古窯の丹波焼 茶入です。

陶春の作でも、千家系書付を予定された作品は出来栄えと、設えが別格となります。

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石田陶春 丹波茶入 三ツ入り箱 替仕覆付 サイズ 口径 2.5㎝ 胴径 6.9㎝ 高さ 9㎝ (蓋含まず)


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扱いやすい、口径と形状です。


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反対側です。

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底を拝見いたしますと、丹波焼の特徴である赤土がみえます。



丹波焼、は平安時代末期から鎌倉時代が発祥といわれる『六古窯』のひとつに含まれます。

最高温度約1300度で50~70時間を登り窯で焼成されるため、降りかかる松の薪の灰が釉薬と化合して、”窯変”、”灰被り”と呼ばれる味わい深い発色となります。

元は、赤土の堅い焼き上がりが頑丈であったことから、すり鉢の需要にてその名を広めましたが、江戸時代には京焼や美濃焼の影響からか、上品な茶陶作品も生まれました。

この作品は丹波焼のもつ特徴を保ちつつ、洗練された仕上がりを追及した茶道具として生まれております。


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仕覆は3つございます。

点前用として二つ。

『二重蔓牡丹唐草』 ・ 『鶏頭大燈金襴』

仕舞用のものも、かなり上質なものが付属します。

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通常の陶春作品では、眼鏡箱で仕覆が2つです。

これは、上記のように3つと、2重箱になっております。

元は而妙斎宗匠や久田宗匠の書付を依頼するように、作家から出る時に設えられたシリーズのものです。

もちろん、流儀関係無くお使いください。

個展価格では30万程しております作品で、未使用のまま、眠っていたものが出て参りました。



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5人様分でも対応できる容量ですが、大きすぎず・・・お点前するにも、大変使いやすい形状・重量です。

”茶入”は、見た目の映えも大事ですが、用としての良さも兼ね備えられていると尚良し、です。

昨今、茶入がお値打ちで良く出ておりますが、このクラスでお持ちいただくと、茶事にもお稽古にも使えて重宝しますよ☆




【石田陶春】

1944年 兵庫県で生まれる。1965年 各陶郷を巡学後、森本陶谷に師事。

1970年 三田市上相野に窯を築き独立。1974年 穴窯を築く。

1978年 東京日本橋三越本店で個展を開催。(以後、定期的に開催) 1984年 大穴窯を築く。

1992年 小登り窯を築く。1999年 大阪梅田阪急百貨店で個展を開催。

2012年5月 逝去。






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藤井香雲堂 JFK お問い合わせ先 


【メール】 fujii-01@xc4.so-net.ne.jp


【お電話】090-8578-5732


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【OL-4】 藤原雄 備前掛花入 [ONEGORO LINE]

明日は端午の節句・・・・です。

元は男子の健やかな成長を願うものでしたが、いつごろよりか・・・”子供の日”となりました。


『端午』


なんで、たんご?という疑問は常々思いつつも・・・意外と説明すると難しいものですので、この機会に整理してみます。(^^;


『端』は、ものごとの『はし』ということで、月の始めを指しておりました。

ですので、月の最初の『午(うま)』の日を節目として節句としていましたが、旧暦の5月が『午』の月にあたることと、同じく『午』の字が『五』にも読めるという事から、5月5日が端午の節句になっていった経緯のようです。

陰陽で奇数を重ねると縁起が良いということもあるようで。



ここからは、史実と俗説が混じります。

今からおよそ2300年前の中国に、屈原(くつげん)という詩人がおり、国王の側近として仕え、その正義感と国を思う強さで人々から大変慕われていましたが、陰謀によって失脚し国外追放とされてしまいます。

国の行く末に失望した屈源は、汨羅(べきら)という川に身を投げて亡くなり、その日が5月5日だといわれています。

国民はその死を悲しみ、川に沈んだ屈源の身が魚に食べられてしまわないよう、小船の上から太鼓を叩いて魚をおどしたり、供物を投げ入れて弔いをしていました。

しかし、その供物も、屈原のもとに届く前に悪い龍に盗まれてしまいます。

そこで、龍が苦手である楝樹(れんじゅ)の葉(茅や笹という話も)でもち米を包み、邪気を払う五色(赤・青・黄・白・黒)の糸で縛ってから川へ流すようにしたところ、無事に屈原のもとへ届くようになったと。

このことから、粽(ちまき)が災いを避けるとされ、端午の節句と組み合わさったということです。


と、前置きが長くなりましたが・・・(^^;

粽形、といえます掛花入のご紹介です。


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藤原雄 備前掛花入


幅8.2㎝ 高さ18㎝


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”ぼた餅”とも言われる備前特有の景色が良く出ております。


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表面の上がり、も非常に良いです。


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端正な口造りです。

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書き銘です。

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共箱


藤原 雄 は人間国宝として有名な備前作家です。

1932年6月10日 生  2001年10月29日没

1996年に人間国宝に認定されます。

父の藤原啓もおなじく人間国宝でした。


よく、父である啓とも比べられ、また近代備前焼としては、数が多く名前を良く聞きますが、雄の魅力とはどこにあるのでしょう?


藤原雄は、実は視力が非常に悪かったそうです。

右目は0.03で、左目は全く見えなかったとか。


しかし、父の強い勧めで健常者と同じ学校へすすみ、さらに東京の大学へも。

そこには人の数倍もの努力があるのですが、視力の代わりに高い感受性と見識を身に付けることとなりました。

(スティービーワンダーや辻井伸行などもそうですね)

新聞記者をしていたところ、小山富士夫に備前へ戻ることを勧められ家業に邁進することに。

父や自身の交友関係などから、多大な影響を受け・・・北大路魯山・川喜多半泥子・藤本能道・田村耕一といった陶芸家から鵬雲斎、さらには芸能界や料理界にも、その幅は広がり独自の”美意識”を伝統的な備前焼へ投影することで成功したようです。

正統派ともいえる、金重陶陽や父・啓とはまた異なるモダンさが人によっては好き嫌いが分かれてります作品もありますが、独自の世界観の構築と、確かな技術力をもちえた陶芸家でありました。


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備前というのは、無釉であるが故に・・・その土・形状・窯変によるものをいかに精神性を込めてコントロールするか、に尽き、一見ではどれも同じに見えてしまいつつ、逆に見るものの感性や教養も要求される六古窯のひとつなのです。





※売却済みです。


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【O-LINE 03】 加賀月華 作 萬古窯 窯変一輪生 大正~昭和初期 [ONEGORO LINE]

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加賀月華 作 萬古窯 窯変一輪生

大正~昭和初期

胴径 9.4㎝ 高さ 23㎝



【加賀月華】

常次郎。明治21年桑名町に生れ、大正11年より桑名の物産として名ありし万古窯の再興を図り、地元の赤須賀に築窯して古万古の作風を学び今日に至つた。

帝展文展には昭和4年以来連年入選、其他日本美術協会、商工省工芸展等に出品し、屡々受賞してゐた。板谷波山にも師事し、その技量をかなり見込まれていた。

昭和12年没、享年50歳  桑名市新町の光徳寺に葬る。

寺内にある 沼波弄山の碑に隣接して板谷波山揮毫の月華墓碑が建っている。

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窯変釉により、複雑な色調を端正に整えて発色されております。

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口造りも凝っております。

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胴に、浮き盛り線を施すことで、下蕪の形状を引き締める効果を出してます。

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印銘です。


萬古焼は、江戸中期(1700年代後半)に桑名の沼波弄山が始めた三重県のやきものです。陶器と磁器の特徴を併せ持った特性をもち、文人により急須などで人気を博しました。

その後一時、中断し弟子筋などにより、幕末期に再興されます。

月華は、幕末~明治期に森有節が萬古焼を復興させたあと、ふたたび陰りが出ていた萬古焼を、近代工芸と茶陶の双方面から底上げして活躍した、近代萬古の祖ともいえます。

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共箱です。


月華の作品は、萬古焼のやわらかさの中に、波山ゆずりのきりっとしたフォルムが特徴である、と感じております。

この作品も、窯変により単色でありながらも、複雑な様相を思わせる釉薬に緊張感のある形状で、

花を生けたときにお互いを引き立て合う佳品に仕上がっております。

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『芍薬』 と共に。 



※売却済みです。



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【O-LINE 2】 膳所焼 (岩崎新定作) 大江写茶入 [ONEGORO LINE]

ONEGORO シリーズのご紹介、第2弾です。


お茶入として、扱いやすさと上がりの良さで時代を問わず人気の膳所焼の茶入です。


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膳所焼 (岩崎新定作) 大江写茶入


サイズ  幅5.1㎝  高さ9.5㎝    口径(内)2㎝


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G蓋です。(^^;


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口も大き目で使いやすく、底も綺麗な状態です。


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印銘、”せせ”です。

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間道の仕覆も上品で、大き目の茶入を引き締めます。

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状態はほぼ未使用です。


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共箱



今では膳所焼としてひとくくりにされておりますが、古膳所は数カ所の窯が存在しておりました。

そのうちの、湖南にあった大江焼として遺されており、美術館に所蔵されている茶入を本歌としたのが、この大江写しです。

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参考の古膳所焼で、大江焼と思われるものです。

一番有名なのは、中興名物で『大江』と銘のあるものです。

膳所窯が瀬田の大江に在ったことから小堀遠州に名付けられました。

伝来は、小堀遠州〜松平備前守〜松平不昧〜根津嘉一郎〜根津美術館




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たっぷりとした風格と、口の広さ・・・と飾り映えも使いやすさも備えた良い茶入で個人的に好きなタイプです。





※ご成約済です。



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新シリーズ・はじめます☆ 【O-LINE 1】 苫舟 香合 [ONEGORO LINE]

新型コロナウイルスで、世間は完全な自粛中です。

非常事態宣言が発令されてから・・19日目です。周りでは毎日のニュースでさらに気を引き締める雰囲気もありますが、少々緩みがちな様子もただよっているこの週末です。

しかし、皆様方の(もちろん私も)健康が第1ですので、くれぐれもお気をつけ下さいませ。

私の方は、まだまだ「やれること」「やりたいこと」が有りますもので、心身の健康維持も兼ねてベースへは通って仕事を続けております。

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といっても、車移動によるドア・トゥ・ドアで、3日間業務・1日間休日というサイクルを続けております。

さて、そんな中ですが・・・当JFKでは、これまでの「こだわり」のご紹介以外に、ちょっとお値頃品のご紹介もたまには盛り込んでみましょう、という企画・・・


【ONEGORO-LINE】


を始めることにいたしました。


是非、お愉しみ下さいませ☆


では、第1弾です。


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 苫舟 時代香合


幅 9cm×4.3cm 高さ3.8cm    箱 合わせ



あじわいのある香合です。

苫舟というのは、苫をまとった舟のことです。


苫とは、菅(すげ)・茅(かや)などで編んで作ったもの。船などを覆い、雨露をしのぐのに用います。


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時代のものですが、なかなか良くできております。

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形状もさることながら、色合いも。

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径年変化にて、透けた溜塗りの本体には、螺鈿による意匠が施されております。

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内側の”朱”も根来調で。

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見えますでしょうか?内底は網代(あじろ)になっているんです。

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苫舟とは、こういう感じでして・・・


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三十石舟、というお話があります。

『三十石』(さんじっこく)または『三十石夢乃通路』は、京と大坂を結ぶ三十石舟の船上をおもな舞台とする上方落語の演目の一つです。

本来は旅噺「東の旅」の一部であり、伊勢参りの最終部、京から大坂の帰路の部分を描く。現在は独立して演じられることが多い。


主人公二人が京からの帰途、伏見街道を下り、寺田屋の浜から夜舟に乗り、大坂へ帰るまでを描いております。

前半は宿の描写、船が出る時のにぎわい、美人が乗ると思い込んだ好色な男の妄想、旅の道中に出会ういろいろなものに触れての軽妙な会話、船頭の物まね、などが続きます。

後半では船中で五十両の金が盗まれる騒動が起きますが、船頭の機転で盗んだ男がつかまり、噺はめでたく結ばれる、といったものです。

これは、余談ですが・・・

苫舟、いろんな趣向でお使い出来ますね。




※ご成約済です。


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