当店が意地で?扱う香山、そして好きで扱うその父・長造・・・

その眞葛焼の代表的な技法の釉薬が『わら灰釉』です。


乳白色でほわっとした発色でどこか上品な感じも併せ持つ釉薬です。

土によって温もりのある赤みを帯びたり、涼やかな青白色を見せたりと色目も変化致します。

野々村仁清も用いていた釉薬ですが、仁清の再来ともいわれた長造はこの釉薬の扱いに長けてました。

もちろん、その後香山も。

5代目の香斎の時に長造作品の写しを制作しはじめ、以降香斎家でもわら灰釉作品がラインナップされるようになります。


『長造釉』ともいわれておりましたが、『失透釉』と名称を変え、近年では『わら灰釉』と称しているようです。


丁度、比較出来る作品が揃ってますのでご紹介致します。


まずは5代宮川香斎の作品です。


真葛香斎 失透観世水茶碗 鵬雲斎書付




さすが5代香斎、手慣れた作行きです。



少し斜め上からみると内側の観世水もちらりと。



長造釉に観世水の意匠は、二代香山の惺斎好みの釣瓶水指が存在しますが、数が少なすぎてほぼ幻に近いです。






鵬雲斎の大宗匠になる直前頃の箱書です。


※ご成約済です。


さて、次に当代宮川香斎の作品です。





真葛香斎 銹絵落雁耳付水指


元は長造の有名な水指が存在しますが、この意匠で一番有名なのは初代眞葛香山による虫明焼で再現したこの作品でしょう。

月に落雁という組み合わせをこのように水指に落とし込むセンスは江戸後期ではなかなかの洒落たものです。



輪花口も長造の得意とするところで・・・それはさかのぼれば、仁清の得意な意匠でありました。




この水指は月に雁の細水指を、より現代的に使いやすくアレンジした形状になっております。

個人的に、当代はやや水色が強い特徴が多い感じがします。


※売却済みです。



当ブログでご紹介する前にご成約となりました、当代香斎の長造写しの雨夜茶碗もやはりそうでした。




では、さかのぼりまして・・・長造の作品のご紹介です。




眞葛長造 模仁清入舟向付    五客  

この作品は過去に京都美術倶楽部で開催されました、幕末の京焼展に出展された作品で現存する長造作品の中でも非常に珍しいもののひとつです。



概ね仁清釉なのですが、この一客だけは長造釉の青みが強かったので今回参考に掲載致します。

画像ではうまくブルー加減がお伝えしにくいですが、これぞ眞葛焼の伝統芸です。





今回は、眞葛焼わら灰釉作品のご紹介でした。



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