明治4年、先代である和全(12代)より家督を譲られた『永楽家14代 得全』

和全は晩年・・菊谷焼など、侘びの方へと傾倒しておりますが、永楽家の伝統はやはり京焼の美です。

祖父である保全のような名人気質であった得全は、激動の明治期にあって・・・茶陶に固執することなく欧米の博覧会に積極的に参加し、受賞を重ねました。

得全の作品群には、古清水からの伝統の美の中に世相や、海外からの影響も垣間見え、独自の作品性が存在します。

今回、ご紹介するものは、まさにその感性が込められた作品といえましょう。





【永楽得全 仁清半開扇 絵替向付 10客】


明治時代

サイズ 幅18.8㎝×13.8㎝ 高さ3.3㎝ (各客)



10客、絵替わりですので・・・1客づつ、ご覧いただきましょう。


① 【橘】










② 【薔薇】








③ 【万寿菊】






④ 【桐】










⑤ 【桜】







⑥ 【桔梗】








⑦ 【百合】








⑧ 【芍薬の牡丹】






⑨ 【朝顔】







⑩ 【薔薇】











仁清のわびときらびやさが同胞した美しさ、そこにモダンな意匠取りを盛り込んでおります。

側面にも、金盛りによる唐草風、極彩色による七宝つなぎ、交趾による緑や水色のアクセント・・これらそれぞれは伝統技術として有名な表現手法ですが、それらを一つの作品へ結集させております。








無釉の底面に、窯切れが生じている部分もありますが、全客・・後キズは皆無です。

今の作品では決して出せない、色彩・デザイン感覚を是非・・・食の器として愉しんでください☆




共箱 (1客づつ入る棚がしつらえられております)

※ご成約済みです。


TOKUZEN ZENGORO 14

1853(嘉永6)-1909(明治42)

1871襲名



京都博覧会の品評人にも就任し、明治の陶磁器改革にも深く関わった得全ですが、

襲名後、38年・・・57歳で早世してしまいます。


江戸期の感覚と新時代の感性を併せ持った最後の世代の永楽でしたが、得全に20歳で嫁ぎ、家を支えた妻、『悠(ゆう)』が変わって・・・今度は家業を継承し支えることに。

明治の終わりから大正・昭和への3つの時代で永楽家を牽引していくのです。



☆ 各客の図柄名を記載しましたので、再度アップ致しました。なにぶん・・若干ディフォルメがあるので判別間違いがあるかと思います。皆さまからのご指摘、お待ちしております!


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