長かった夏も・・・ようやく終わりの様相です。

秋も昨年のようにずれ込むのでしょうか?


少し早いですが、秋深し・・・のお茶碗のご紹介です。





二代 眞葛香山 黒釉紅葉之絵 茶碗

鵬雲斎箱 香斎極箱

大正時代 後期       1917~26年

幅 11.5㎝  高さ 7.8㎝



香山の茶碗は仁清意、乾山意、と江戸初期よりの京焼の伝統を受け継いだ眞葛長造の作風がしっかりと流れております。

その中でも『乾山意 黒釉』は仁清黒と呼ばれる手法を手びねりで製作し、元来固くなりがちな意匠をやわらかみと格調を両立させた香山オリジナルの作品で、香山の茶碗の代表的なものといえます。






この手びねり感、そして絵付けの妙は・・・出来そうでなかなか出せない味わいです。

琳派風の紅葉で、どこかデフォルメされたような感じがよいのです。





形状と絵付けのバランス感覚は香山の真骨頂でもあります。

茶碗という横にワイドに広がるキャンバスに紅葉の葉の魅力をいかんなく出すには・・・

敢えて、幹をカットし紅葉満開の部分にフォーカスを当てて意匠化しているのです。

手びねりであることで、前後にも立体感が生まれておりますので紅葉が生き生きと感じられます。





反対側より。





ぐるっと回りこんで。





京都の真葛香斎家でもこの黒釉の写しに挑戦されております。

二代香山は古伊賀釉の復興にも尽力した縁から伊賀城の天井襖絵に12ケ月の茶碗図を遺しており、この紅葉の絵も見ることが出来ます。


 


この作品は珍しく、粘土質の土を使用しております。

捻りやすい為でしょうか。






この茶碗は、共箱でなく5代香斎の極めになります。

書付を取る際に、箱の蓋の裏表に共箱の筆がある香山ですので作り替えたのだと推察出来ます。

この頃は、代の特定までしない極め箱が多いです。二代で間違いなし、ですが。





押し印と、書き銘にて乾山を意識した”香山”を。

鉢や、花瓶でも同様な遊び心を入れます。 印があるのでそれだけでいいやんか、と思いますがそこは香山。




この、赤色・・・は和全色絵でもある朱色に近い”赤”です。

香山では大正後期~昭和初期の茶道具で使われた柔らかい色調の絵の具で、この色もなかなか、なのです。



以前にも同手を扱ったことがございますが、ちょっと格式のあるお茶席の懸釜で見事に活躍して頂きました。

この手の色絵は、様々な時代のものやランクのものにも併せて重宝することでしょう。







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