永楽家としての祖ともいえる「保全」は幕末京焼の中核を為す存在でありました。

高麗、金襴、交趾なども長けておりましたが後年の保全の集大成といえばやはり「染付」です。

これまでも、色々と染付・祥瑞作品をご紹介してまいりましたが、今回は造形的な珍しい作品です。



永楽保全 染付瓜形食籠

表千家 即中斎箱 

即全極め箱

製作年代 1848年~1854年頃

幅12cm 高さ13.5㎝


造形的で、面白い作品です。

立瓜を染付で立体的な構造で形成しております。



裏側

蟷螂が描かれております。

もう少しアップしてみましょう。



どこか、愛嬌のある蟷螂です。

古来より瓜と併せて意匠に組み合わされる季節感のある図柄です。



こういう感じです。

蟷螂(かまきり)、はどんな強大な相手にも、後ろに下がることなく立ち向かうことから、前向きな縁起ものの象徴としても意味もあります。



摘みも造形的です。



蓋の裏には「河濵支流」印があり・・・



底には染付銘が書かれております。



即中斎宗匠の箱書です。

風炉の時期の喰籠として、3つ盛りで主の菓子器にいかがでしょう。

もちろん一客一亭や、この造形作品を置物、と捉えて床脇、などにお飾りされるのも一興ですね。



十六代永楽、即全の極め箱になります。



保全は、晩年・・・湖南焼や高槻焼、そして京焼と3カ所での作陶をいたしました。

それらの共通点は、染付メインであること。

地味なもの、華やかなもの…すべてをこなしてきた保全が最後に集大成として選んだ呉須の世界、はそのセンスと共に確固たる評価に値する作品群なのです。

※ご成約済です。