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【仁阿弥道八 茶碗考③】~高麗写し~ [幕末京焼]

さて、次は『高麗系統』です。


『仁阿弥道八』のお茶碗の中では、一番主力作品といっても過言ではないでしょう。


『書院茶』から、『侘び茶』へと移行する中、お道具も『唐物』から『高麗物』へと嗜好が変わってきました。

当初は、現地で存在した『飯茶碗』等の「見立て」転用であったようですが・・・桃山時代末期から江戸時代初期には、日本からの「注文品」を現地で製作し日本へ送らせたので「茶陶」を意識されたものになっております。


天文6(1537年)に開かれた、『十四屋宗伍』という珠光の弟子であった茶人の茶会記に於いて、「高ライ茶碗」という記述が最初といわれます。


『唐物』ほどでは無いものの・・・今風にいう所の、『オーダー輸入品』ですから、国内に於いておいそれと、手に入る物では有りません。

江戸時代も後期になりますと、町衆にまで茶の湯が広まってくる中で・・・『高麗写し』の需要が高まってくるのは当然なのです。


江戸後期では、『青木木米』も高麗写しを作っておりますが、基本的に京焼界では『清水六兵衛』が初代から二代へと継承された頃です。


同時代としては、『永樂保全』『眞葛長造』が存在しております。

『仁阿弥道八』と併せて、幕末京焼の三大名工と称されます。(『茶陶』中心として)


『高麗写し』という側面から見ますと・・・


『永樂保全』は全体の中で僅かにしか、存在しません。


『御本写し』『唐津写し』の『2シリーズ』です。


また、さらに希少なものでは『雲鶴青磁』が在ります。


『眞葛長造』はさらに少なくなり・・・同じく、『雲鶴青磁』と他には『三島』位でしょうか。



その点、『仁阿弥道八』は高麗茶碗のうつし、ほぼフルラインナップと云っても過言では有りません。


『三島』『刷毛目』は数が多く、凡作も多数存在しますが、他は概ね素晴らしい出来栄えです。


この辺は、『建仁寺』との深い縁関係が影響しています。


建仁寺に伝世している作品群を手にし、研究出来たであろうことは大きなアドバンテージでしょう。


しかし、それ以前に仁阿弥の精神性の高さが作品たちに反映されていると思います。



仁阿弥 伊羅保茶碗 (3)-1.jpg


【仁阿弥道八 黄伊羅保 茶碗】


幅   14.6cm

高さ  6.7cm

高台径 5.1cm

製作年代 文政9(1826)~天保13(1842)年頃

箱   共箱



『黄伊羅保』のうつしになります。


仁阿弥 伊羅保茶碗 (5)-1.jpg


目跡、も再現されております。


仁阿弥 伊羅保茶碗 (6)-1.jpg

きちんと、石が混じり込んで作られておりますが、イライラする感じはなく・・・上品な作行きです。


仁阿弥 伊羅保茶碗 (7)-1.jpg


仁阿弥 伊羅保茶碗 (8)-1.jpg


丁寧な轆轤形成のあと、高台周りは箆で丁寧に削り出してます。


仁阿弥 伊羅保茶碗 (9)-1.jpg


高台内に『仁阿弥』三文字小印が押されております。


仁阿弥 伊羅保茶碗 (1)-1.jpg


仁阿弥 伊羅保茶碗 (2)-1.jpg


共箱です。


仁阿弥 伊羅保茶碗 (4)-1.jpg


この作品と同じ時期の製作になるものが、『東京国立博物館』にも所蔵されております。

展示されることもあります。



重量は「237g」であり、こちらもまた重すぎず・・・良い感じなのです。


仁阿弥の伊羅保は、伝世数というより・・・流通量としましては珍しい部類に入ります。


しかし、このお茶碗はそれらの中でもさらに出来映えは「上」と云いましょう☆





長くなりましたが、『仁阿弥道八 茶碗考』シリーズは新しく道八茶碗が手に入りましたら続きます。


※御成約済みです。





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