ここのところ・・・・大阪では、新型コロナの変異種を中心とした拡大の様相が見られております。

ご連絡を頂戴致します皆さま方からも・・・少し、出控えて・・・ネットでのお買い物を中心にしていますとお聞きしております。


骨董や美術に関しては、よくHP上でのWEBショッピングシステムや、ヤフーオークションというもののご利用が多いようですが・・・・

当店は、ご紹介こそ・・・ブログというWEB上のシステムを使っておりますが、デジタル時代でもクラシカルな「メール」「お電話」でお話しさせていただき、作品への想いと熱量をわかちあってのお取引きにこだわっております。

(まぁ、マニアックなものばかり過ぎて、そうせざるを得ないという面もありますが。(^-^;)



そういうご縁から、アートフェア等リアル展示会で直接ご挨拶出来たり、または逆にお知り合いになってからWEBでの御贔屓頂いたりと、みなさまとの双方向のコミュニケーションを頂戴いたしております。


そんな中で欠かせないのが、やはり「メール」です。


SNSでのDMなどが世間的には一般のようですが、たとえショートメールでもEメールでも、メールでお言葉を交わしあうことを大切にしております。



昔でいうことろの・・・「お手紙」、「文」ですね。



今回、ご紹介致しますのは、『玉章(たまずさ)』・・・別の名を『結び文』をモチーフにした作品です。








【初代 眞葛香山 仁清写玉章 香合】


 幅 7.8㎝×5.8㎝  高さ 2.9㎝


 共箱


 製作年代 大正時代 初頭頃






玉章、結び文・・・の香合は、古くは寛永時代の野々村仁清の作品で見られた、ひとひねりした雅味ある意匠です。

このような形状のものや、結んだ先を大きく伸ばした大香合などが伝世しております。


いずれも極彩色を使ったもので、これぞ京焼色絵、といえるものです。



眞葛長造でも作品があるものですが、香山が製作する際にはオリジナルな部分が多くなりがちです。

しかし、この作品は珍しく、長造のテイストを色濃く反映されております。





この、花紋を散らしたあたりのデザインは仁清よりも緻密な配置です。

赤色、は少し落ち着いた赤で眞葛窯では長造時代に、侘びた風合いをうまく表現するのに大いに寄与している釉薬です。




眞葛香山らしい、土と形成です。





「身」の部分が長造を意識した部分です。この眞葛窯の赤色に金で蛇篭のような目を入れることで、引き込まれる空間感が出ます。

それは曲面から側面へと繋がっており、絶妙に間隔を変えながら全面へと広がります。




(眞葛)印



香合や蓋物というのは、サイズがちいさい作品です。


小さい中にいかに、造形感を出すか、面白みを込めるか、というのは難しいものです。


単に大きい作品である意匠を小さくするだけではデザインが破綻します。


話がそれますが、例えばクルマを実車そのままをスケールダウンしてミニチュアカーにすると、本物の良さが出ないのです。

そこには敢えてデフォルメが必要となります。

小さくなることで、作業としての対象面積がミニマムになること以上に、より形成力やデザイン感性が問われるものだと思います。


それだけに、愉しいコレクションアイテムとなりえるのです。









共箱は、初代の大正時代初期のもので、『帝室技芸員』の印も押印されております。

この頃は、三越呉服店(百貨店)が香山の取り扱いに力を入れていた側面もあり、三越扱いの展観作品にはこのような箱が多く見られます。



初代香山は、明治29年に(1896)陶芸界では二人目となる帝室技芸員に任命されました。

それは、技術力だけではなく人格や後進への指導力なども総合的に認められ、宮内庁への作品の取引も含んだものとなります。

明治時代を通して、海外での賞を総なめにして評価を意のままにしていた香山ですが、その時代への適応性が一番の「力」でありました。


明治後期に向けて・・・国内への回帰の時勢を読んでいた香山の帝室技芸員任命は、さらなる眞葛窯の飛躍の起爆剤となるのです。







結び文、は文を捻って結ぶ意匠です。



その内容は・・・ 他人を敬る文。



そして恋文も。



大切なご縁を『結ぶ』、そのココロのカタチなのです。






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