2年前に、保全の希少な雲鶴青磁写茶碗を扱いました。

他の幕末の陶工では、仁阿弥や長造など・・・・雲鶴青磁の写しにチャレンジし、優品を遺しております。

その保全作品に倣ったと思われる、和全の作品が今回見つかりました。

形状や重量感等もよく似ております。

色調は明るいグリーンでなく、より高麗風になっておりますが・・・




永楽和全 雲鶴青磁 茶碗

幅 13㎝ 高さ 8.5㎝



中国で4世紀頃に生まれた青磁は、10~11世紀の北廂時代には完成度の高い作品が生産されるようになりました。

茶席におけるお道具としては、南宋時代の竜泉窯での砧手が、澄んだ格調の高い美術として、対して珠光青磁や人形手という雑青磁といわれるものが侘び道具として重宝されてきました。

その後、韓国へ伝播した青磁は、韓国独自の象篏青磁として別の発展を致しました。

有名なのは雲鶴狂言袴といわれるもので桃山時代より存在します。

その後、どんどん技術が変化していったのか、青磁の色は濁ってきます。

その次が灰色のものになり、三島茶碗へと続きます。

雲鶴青磁は古いものを古雲鶴ともいいます。

元来は高麗にて生まれた鉢などの容器等を茶碗として見出したものが日本にて珍重されました。

なので、このお茶碗もやや鉢成りなのは当然なのです。



しかし、そこは手慣れた和全ですから、茶溜まりや高台の形成は茶碗としての使いやすさを重視したようにきちんと作りこまれております。


画像では解りにくいのですが、象篏により千鳥や三島文様、底にも文字らしきものが描かれております。



和全の幕末期の製作と思われます。



16代永楽即全の極め箱に・・



鵬雲斎大宗匠の若い時期の箱書きがあります。


風格もあり、2碗や3碗目、濃茶にも楽しめそうです。

※御成約済みです。