最近では・・・なかなか、手にしようと思う作品が出て来なかった初代蘇山作品です。

今年は縁があり、唐物写盆、手桶水指に続き・・・3点目です。



初代 諏訪蘇山 青磁小魚文 鉢 二代極め箱

幅19.7㎝  高さ6.7㎝

側面からでは、薄造りでシャープなフォルムしか見えませんね。(^^;



ピンクに発色する・・・何か見えます。



魚たちです。

まるで青の水の中を自由に泳ぎ回るかのような意匠です。

赤色に見えますが、当時は釉下彩の赤は難しいと聞き及んでおりますので、おそらく香山と同じく疑似的な発色で赤色に見せているのかもしれません。

初代蘇山は、日本における釉下彩の父であるゴッドフリートワグネルに明治8年、上京の際に化学について学んでおります。




蘇山の青磁は京焼の世界にて完成された近代日本美術工芸の青磁技術の先駆者であり、代表格です。

蘇山は、金沢時代に様々な苦労を経て修行しました。後に明治美術に多大な影響を与えるワグネルからも学んでおります。

1907年(明治40年)1月京都市五条坂に独立して窯を構え、七官青磁、交趾釉、白高麗、漆黒釉等、多岐に渡る様式を研究し、1913年(大正2年)には鳥の子青磁を完成。

1914年(大正3年)~1915年大正4年には李王職の依頼で朝鮮に渡り、高麗古窯旧跡を調査し、窯の再建にも尽力。

1917年(大正6年)6月11日 陶芸界では3人目の宮内省帝室技芸員に選ばれ、1919年(大正9年)久邇宮邦彦王台湾訪問、1921年(大正10年)聖徳太子1,300年忌等に際し作品を献上しました。

1922年(大正11年)2月に亡くなります。






二代による極め箱になります。

当店では、このような意匠の作品は、過去に香炉で取り扱いました。

そのタイプの作品も最近は出にくくなっております。



陶芸の帝室技芸員はわずかに五名のみ。

三代清風与平、初代眞葛香山、初代諏訪蘇山、初代伊東陶山、そして・・・少し時を空けて、板谷波山。

技術のみならず、全てを評価されて宮内庁に任命される帝室技芸員は、現代の人間国宝とは全く異なる高次元での日本美術の表現者であったのです。




鉢、ではありますが・・・水を張って、花びらをチラリと浮かべてみるのも愉しそうです。

※売却済みです。