当店では、久しぶり・・、楽の香合のご紹介です。


交趾柘榴写、です。

昨年にご紹介いたしました仁阿弥作のものと比較してご覧いただいても一興です☆

https://koundo.blog.ss-blog.jp/2020-06-05-1

↑こちらから、どうぞ。





【楽 惺入 交趾柘榴写 香合】


幅 6㎝ 高さ 4.9㎝

共箱

覚入極め別箱 鵬雲斎大宗匠 書付蓋


大正後期~昭和初期頃



ぐるっと作品を見回してみましょう。








交趾とは、現在のベトナム北部を示す地名です。

実際に焼成されたのは中国の南方で、漢代には交趾郡がおかれたことが知られます。

この地方の広東省の諸窯,浙江省の宜興 (ぎこう) ,蜀山などの窯で軟陶の三彩のものが制作されたようで江戸時代に輸入されました。

低い温度で焼いた軟陶の三彩。緑、黄、紫の釉が鮮やかな柘榴形の型物香合。

相撲の番付表を模した安政2年(1855)刊の『形物香合相撲』では、「東前頭二十一枚目(東二段目十位)」に位置します。


京焼では、保全や和全、仁阿弥が写しておりますが、楽では珍しいかもしれません。

交趾釉は、楽家の初期から得意とするところであり・・・古作の味わいのある釉調がうまく出ております。





型ではなく、手びねりの為、合子部分の甘さはございますがご愛敬。




底部です。



印は大きさの都合上、内側になります。




わずかな窯切れはあります。





なかなかの上がりです。



眼鏡箱




共箱 覚入極め箱





鵬雲斎大宗匠 の前期の箱です。




十三代 惺入 明治20(1887)年~ 昭和19(1944)年


弘入の長男で、弘入の隠居にともない・・大正8年(1919)32歳で十三代吉左衞門を襲名します。


楽家歴代の中でも、釉薬研究に長けていたといわれており、実直な性格がそのまま作品に投影され優品を遺します。

しかしながら、この時代・・・大まかなところだけでも、第1次世界大戦、関東大震災、そして太平洋戦争へ向かう中、大変な時代背景です。

そんな中、制作に対する意欲を持ち、また・・書画、和歌、漢学、謡曲などへの精通、楽家の家伝の研究などに尽力しました。

釉薬についても、新たな鉱石などを取り入れたりもし、先へ向かう眼も持っていたようです。


平和な時代であったら、もっと惺入の斬新な作品を見られたことでしょう。

しかし、このようなクラシカルな様式にも、他とはあきらかに異なる精神性が感じられるように思える、のです。







※売却済みです。


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