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《盒子》展 ① 【仁阿弥道八 交趾柘榴 香合】 [WEB BASE]

今回の《盒子》展のトップバッターは、仁阿弥です。

作品の製作時期からいうと・・・『二代 高橋道八』と呼んだ方が良いですね。


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【仁阿弥道八 交趾柘榴 香合】

幅 6.3㎝ 高さ 7㎝

文化元年(1804)~文政9年(1826)頃





この作品が生れたのは、『徳川時代、第2次文芸復興期』といわれる時代でした。

父である、初代道八が亡くなられたのは二代道八が22歳の時。

通常でしたら、まだまだ・・の筈ですが、なんとこの2年後に粟田青蓮院宮へのお出入りを仰せつかります。

木米が京焼で確固たる地位を占めていた頃であり、このことは・・・2代道八の技術が、既に高いレベルにあったことが裏付けられます。

この作品は、仁阿弥道八が代を継いだ直後~文化8年(1811)に粟田から五条坂へ窯を写すまでの間と推測いたします。

仁阿弥の特徴として、当時の京焼陶工の中でも珍しく・・・抹茶系統の製作が大半を占めたということが挙げられます。


過去に大阪の地で国焼の研究の第1人者であった方が遺した文献にこういう表現がありました。

『仁阿弥の作品は、一言にしていえば日本情調、茶の湯抹茶趣味であり、そこから発展したよい意味での高貴性を発露した、いわゆる京焼の伝統を忠実に護り抜いたものである。』


中国陶磁や朝鮮陶磁の写しものの優品もある仁阿弥ですが、それらもまた・・・茶の湯の範疇である唐物写しであります。

今回ご紹介致します作品も、まさにそのひとつです。


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交趾とは、現在のベトナム北部を示す地名です。
実際に焼成されたのは中国の南方で、漢代には交趾郡がおかれたことが知られます。
この地方の広東省の諸窯,浙江省の宜興 (ぎこう) ,蜀山などの窯で軟陶の三彩のものが制作されたようで江戸時代に輸入されました。

低い温度で焼いた軟陶の三彩。緑、黄、紫の釉が鮮やかな柘榴形の型物香合。相撲の番付表を模した安政2年(1855)刊の『形物香合相撲』では、「東前頭二十一枚目(東二段目十位)」に位置します。

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造形、も色調も唸るほどの古作の味を再現しております。

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柘榴、は子孫繁栄の象徴として吉祥の意匠です。

鹿、も幸運を呼ぶ動物という認識とされております。

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仁阿弥の弟は、尾形周平です。

尾形周平は珉平焼の創始に協力しました。この緑釉と黄釉はどこか受け継がれている気がします。

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一カ所、焼成時による窯切れがあります。

仁阿弥の初期作品と、先述致しましたが・・・その頃は粟田に窯がありました。

内側の釉調は仁清釉となっているのも粟田っぽいですね。

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裏側です。

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道八の彫り銘となります。

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共箱です。

初代道八とされる作品の共箱に、この筆跡のものがあります。

他にも気になる事例もあり・・・初代作品は本当に初代作なのであろうか?という疑問を持っております。

仁阿弥が二代を継承した当初からのレベルを考えましたら、おのずと答えが出るような気もします。


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大きさ、もあり・・・コレクションとしての満足度の高い『盒子』です☆



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【お電話】090-8578-5732


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