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【九代 大樋長左衛門 黒 茶碗 銘 苔衣 鵬雲斎 箱】 [茶道具]

今回は、到って・・・オーソドックスな茶道具のご紹介であり、当方でも、結構な数を過去にご縁のあったモノです。



九代大樋 黒茶碗 鵬雲斎 (3)-1.jpg

【九代 大樋長左衛門 黒 茶碗】


幅   12.5cm

高さ  8.1cm

高台径 5.2cm

製作年代 1970年頃

箱   共箱 鵬雲斎書付 銘 『苔衣』 養生用外箱




本家が代を継がなかったことで、職人であった『宗春』が明治27(1895)年に八代を襲名することとなり、近代茶道界の中で『大樋焼』は再スタートを切ることとなりました。

当初は表千家の箱書が多かったようですが、『圓能斎』に『以玄斎』という号を頂いてからは裏千家ともつながりが深くなっていきます。

そして、昭和2(1927)年・・・八代没後、長男が九代目を襲名しました。


襲名後は、従来の大樋焼のお家芸である『飴釉』を中心に、光悦写等の作品を製作し、表千家・裏千家の箱書きとともに千家流茶道界に於いて『大樋長左衛門』の名を広めていきます。

昭和11(1936)年の12か月茶碗の発表と共にその名工ぶりが周知され、昭和15(1940)年には『長左衛門』の号自筆拝領印を、近衛文麿総理大臣より頂くまでになりました。


その後、やはり・・・・大樋といえば、京都の本樂との差別化の為に封じられていた『黒樂』を大樋焼独自の様式にて完成させます。


それが、今回ご紹介する作品です。



九代大樋 黒茶碗 鵬雲斎 (3)-1.jpg


大樋の黒は、適度な重量感と、完璧なサイズ感が特徴です。

樂に比べて、そのあたりの統一感がキチンと出ているのは、これからの新しい茶人達の『スタンダード』な主茶碗としての定着を意図してでしょうか。


九代大樋 黒茶碗 鵬雲斎 (6)-1.jpg


『幕釉』という、釉掛けの境目に発生する白い景色が、九代大樋焼の独自性が発揮されているポイントです。


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点て易さも完璧です。


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高台の形状も、大樋独自の特徴です。こちらも点前の際の扱いやすさに徹底されております。

九代大樋 黒茶碗 鵬雲斎 (8)-1.jpg


土もこの頃から風格のあるものになってます。

『長左衛門』印は昭和15年~昭和61年の間に使用されました。


九代の在代は、実に60年にも及びます。


『鵬雲斎大宗匠』とのご縁も深く、作品の多くは後半・・・鵬雲斎によるものが大半となります。


九代大樋 黒茶碗 鵬雲斎 (2)-1.jpg


1970年頃の筆跡でしょうか。

銘は『苔衣』


地面を覆う苔を、衣に例えて表した言葉であり、それは・・・永遠変わらぬモノゴトを意味します。

直接的に風景としての露がかった緑色の苔の様相を捉えますと5月~7月頃の初夏的な、銘にもイメージできます。

また、以下の歌にも詠まれております。


◎光悦本謡曲

観世流の謡曲であり、謡曲は『伊勢物語』『源氏物語』『平家物語』などの古典から多くの題材を採っており、それらの普及にも大きな役割を果したものです。

《野宮(1470頃)「片敷くや、森の木蔭の苔衣」》


◎新後撰和歌集 

鎌倉時代にできた、一三番目の勅撰集。正安3(1301)年後宇多院の院宣により二条為世が撰し、嘉元元(1303)年に成立した。二〇巻。歌数は一六〇七首。

代表歌人は藤原定家、為家、西園寺実兼、二条為氏、亀山院など。住吉の神官津守家の歌が多くはいっていたので「津守集」の異名をつけられたといいます。

《(1303)雑上・「よなよなの 涙しなくばこけ衣 秋をく露の ほどはみてまし〈藤原為家〉」》


他にも、平安時代の『大和物語』でも『苔の衣』、という題のものが有ります。

こちらは正月の寒い時期を舞台にした物語です。


九代大樋 黒茶碗 鵬雲斎 (1)-1.jpg


共箱です。



本当に、『”準”樂』としてのステータスがさることながら、出来栄えやパッケージング、並びにお求め易い価格も魅力なのです。



※ご成約済みです。



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