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『初期大樋焼 黒茶碗』 銘 星月夜 吸江斎 箱 [茶道具]

本年、最初の作品紹介です。


江戸時代は最初のころ・・・寛文6年(1666年)。

加賀百万石の5代藩主、前田綱紀が京都から茶堂として裏千家の初代である仙叟(4代千宗室)を招聘した際に陶工の”土師長左衛門”を随行しておりました。

楽家の4代目である一入の師事して、一番の技術を持っていたといわれます。

長左衛門は、仙叟が帰京する貞享3年(1686年)後、河北郡大樋村(現、金沢市大樋町)に残り・・・楽焼の窯を築き、前田家の御用窯として代々続いていくことになりました。


楽焼を元にした技法である大樋焼は、轆轤は使わず手で捻りながら成形した後に、施釉を行った後に小さな窯で、短時間で温度を上げた後、作品を窯から引き出して急冷して焼しめるという技法を使います。

飴釉が特徴である大樋焼ですが、当初は楽茶碗と同じの黒・赤を禁じられたために工夫して創案したと言われております。

しかし、飴釉を深くしていうことで黒っぽくも出来、また江戸後期にははっきりとした黒も造っていくようになるのですが・・・

こちらは、初期大樋の珍しい黒茶碗です。


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『初期大樋焼 黒茶碗』 

銘 星月夜 吸江斎 箱


幅 10.2~10.6㎝  高さ 9.3㎝  高台径 4.8㎝




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その名付けられた銘は、この景色からの見事な連想です。

満点の空に輝く・・・星のようであり、またいくつかの集団が正座をかたどっているようでもあります。

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反対側から。

ぱっとみたところ、筒や半筒茶碗に見えます。

しかし、寸法をご覧いただけばお分かりのように・・・形状からくる錯覚です。

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普通に、真夏以外は楽しんで頂けるお茶碗です。

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黒茶碗ですが、随所のエッジをみると・・・かなりの深みのある飴釉のようにも見えます。

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口造りは薄めですが、胴体下部につれて重量感があり、手に取って頂くときには絶妙なバランスでしっくりくるのです。


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吸江斎のすかっとした箱書が添います。

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利斎による上質な桐箱です。

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古い養生箱。

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さらに、黒塗の外箱で3重箱です☆


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旧蔵者により、先代大樋さんに見せた際・・・2代でしょうとの見解を頂戴してるとのこと。


ニ代 大樋長左衛門(芳土庵)(1686〜1747)


なにより、趣き、と長きに渡って大事に伝えられてきた感がとても伝わってきて良いお茶碗でした☆


星月夜・・・ほしづきよ。


晴れ渡った夜空に明るく輝く星の光。



今、世界はちょっとした暗闇に入っております。


そんな中、明るく行く先を照らして欲しい、という願いを込めて。





※ご成約済み



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