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【十翔会 特別開催版】~開催中です [催事]

【終了しましたイベントです】


本日はご来場戴きました皆様‥誠に有り難うございました。

お陰様で、無事初日を終えることが出来ました[exclamation]

ここのところ‥ちょっと仕事上でのミスをちょこちょこ発生させてしまい、年齢とともに衰え?というもので少しマイナーな気分で有りましたが、皆様とお話させて戴いてる間はそういうことが吹っ飛びますので大変感謝しております[ぴかぴか(新しい)]


まだ、折り返しで明日一日御座いますので、どうぞ御高覧の程、宜しくお願い申し上げます[exclamation]

当店出品エリアは、奥のムーディーゾーンです。[ほっとした顔]

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明日は17時閉場です。

最終入場は16時半迄となっておりますので、ご注意下さいませ。


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【永楽保全(長等山) 染付竹輪 蓋置】 即中斎箱 即全外箱 [幕末京焼]

今回は、大変希少な保全作品をご紹介致します。

しかし、その作品が生まれるに至る迄の・・・保全の晩年は決して楽なものではなかったのです。


時は『嘉永2年』、『西村文書』と呼ばれる資料に記されている一文を発端に保全の生活に激変が起こります。

『酉年春、奈良風呂屋十二世。永楽善五郎回全・・・』


保全の親友である、佐野長寛の次男である『宗三郎』を養子に迎えたことに端を発する事件です。

天保14(1843)年~嘉永元年(1848)年までの『善一郎』を名乗る時代、その『善一郎家』を別家として創設するためであったということですが、その時点では問題になっておらず、嘉永2年に善五郎家に加えたことが問題であったと思われます。

和全との確執は決定的となり、保全が江戸へ遁走することとなるのです。


嘉永3年10月、三井家を頼って江戸へ下りますが、願いむなしく・・・三井家からも見放されたようです。これは本家である善五郎を立ててのことと思われますが、保全に関する文献等も廃棄されたといいます。おそらく、和全の怒りは相当なものだったのでしょう。


嘉永4年6月に、江戸より戻るも京都へは入らず、三井寺の辺りに仮寓し再起を図ります。

摂州高槻城主、永井候から『高槻焼』なる御庭焼の相談を受け築窯することになりました。


しかし、保全自身の状況もさることながら、永井家よりの資本注入の少なさに起因するところもあり、『土』も二級品であったといいます。

それゆえに、窯疵が多発するのです。

このやきものは軌道にのることなく、嘉永5年頃には頓挫したようです。

翌、嘉永6年に鷹司家からの注文品を湖南で焼いたりしましたので、再び湖南へ拠点を戻したことがうかがえます。

そして最晩年となる・・・・嘉永7年(1855年・安政元年)。

保全最後のワークとなる、『三井御濱焼』『長等山焼』が生まれました。


円満院宮の名前を借りることで、御用窯としてかろうじて自身のプライドを保つことを図ったようです。

しかし、永年・・新たな京焼・千家御用窯として名を高めることを成した保全の技量は晩年といえども衰えることなく、発揮されたのです!


今回は、その最後の最後の窯の作品です。



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永楽保全(長等山) 染付竹輪 蓋置


幅    4cm

高さ   5cm

製作年代 嘉永7(1854)年

箱    共箱 即全極め箱 即中斎書付



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完璧な、染付発色にて焼成されております。


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『竹節』の形状を模してあり・・・


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上部も同様に竹節風に形成してます。


『輪』の蓋置は多数ありますが、このようなものは希少です。

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下部から。


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『長等山 陶鈞軒保全置造』


長等山焼銘の作品は、保全の中でもかなり珍重されるもので、『三井家』に3点存在する他では『台鉢』等数点を流通上で見た程度です。


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極め外箱

眼鏡になっております。


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共箱です。


もうひとつは新箱により、書付用となっております。

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即中斎箱です。




晩年の保全は『染付』の探求に徹した節があり(もしくは多種製作が困難だったのかも)、晩年少し前の『河濱焼』は御本風の土ものでありましたが、『湖南』としてそこはひとくくりにするのではなく・・・保全晩年の『染付焼期』として『高槻焼』『湖南焼(長等山焼)』を一時代として保全研究するのも大事なのかもしれません。



この度、この時期の保全の心境・・・というか、状況を感じとりたく現地へ赴いてみました!

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『三井寺(園城寺)』

来週位から桜が綺麗なことでしょう。

弁慶の引き摺り釣鐘などでも有名です。


この傍に、有りました!


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『三井寺円満院門跡』


御濱御殿内、で焼いていたといいますが門跡前、とも。

ここの門跡は面白い造りで、有名な蕎麦屋さんがくっついております。というか門の一部になってます(笑)


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『開運そば』

良い出汁で、お値段もほどほど。故に常に人気だそうです。

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『開運そば定食』




三井寺の中からも、山を背に琵琶湖が臨め・・・なんといいますか、心安らかな感じでした。

周りも静かな地であり、保全の最後の数年の暮らしが少しだけ感じれたのです。


嘉永7(1854)年の夏期(5~7月?)に開窯した『三井御濱焼』ですが・・・


同年9月18日、大津の地にて病気にて保全が亡くなり、わずかな間で幕を閉じました。


この末期の際に和全とは和睦となったそうですが、保全にとっては心残りなことも多かったと思われます。。。


諍いの元となった、『宗三郎』は『和全』の開窯を大いに支え・・・明治に入るまでの永楽家の苦境を共にし和全の偉業を成し遂げました。


のちに、『宗三郎家』を興したあとも永楽家の手伝いを続け明治9年没します。が後に『得全』がその功績を讃え、『13代回全』として永楽家は正式に『宗三郎』に代を授けることと致しました。



ここにきて、保全と和全の仲はあの世にて再び円満な親子の縁が結ばれることとなったことでしょう。

それは、明治16(1883)年のことでした。


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※御成約済みです。


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【2023年3月】ベーススケジュール&新入荷情報です。 [BASE215]

【2023年3月22日 新入荷情報 追加】


さてさて・・・出張続きのあとは、『十翔会 特別開催版』です!


3月
 25日(土) 10:00~18:00
 26日(日) 10:00~17:00

※最終入場は16時です。

大阪美術倶楽部 本館 3階 


じゅ、準備を全く出来てません[あせあせ(飛び散る汗)]

なのに、今日は午前中さぼってWBC観てしまいました。。。。

いえ、それはそれで大変貴重なお時間でございましたが。(^^;


では、ここから数日スパート掛けて『WBC』します!⇒わたしも、ぼちぼち、ちゃんと頑張ります。



【2023年3月】新入荷情報です。


◎樂 慶入 元伯好玉 香合 惺斎 箱

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かわいい、香合です。

本歌は有名な黄瀬戸の香合と思われます。それを宝珠形にリメイクされております。

共箱が、少し経年劣化で汚れておりますが、その分お値打ち価格です。



◎嘉永7(1854)年 永楽保全(長等山) 染付竹輪 蓋置 即中斎箱 即全外箱

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これは、大変希少な「長等山」銘の作品です。

高槻窯より戻って、保全が亡くなる年の数か月だけ作られた「湖南焼」の後期作品です。


※ご成約済みです。


◎大正後期 二代 眞葛香山 仁清意鴛鴦 香合 惺斎 箱 三つの内

二代香山 鴛鴦香合 (5)-2.jpg

※ご成約済みです。


◎江戸時代後期 眞葛長造 模仁清ゆずり葉 茶碗 鵬雲斎玄室 箱

長造 ゆずり葉茶碗 (6)-2.jpg

ザクっとした絵付けが、逆に味わい深いテイストのお茶碗です。長造の晩年期の作品であり、「香山」号を賜り香山銘での箱書きなのです。

零代香山。


◎濱田庄司 柿釉丸紋二彩扁壺 濱田友緒極め箱

濱田庄司 扁壺 (2)-2.jpg


色と形がとても気に入りました! お孫さんの友緒箱になりますので、お値打ち価格です。


※ご成約済みです。


◎尾長鳥蒔絵 椀 【10客】

尾長鳥蒔絵 煮物椀-2.jpg

縦にふっくらした形状を活かした絵付け、のお椀なのです。

作者名はありませんが、京塗師によるものでしょう。


◎大正初期 初代 眞葛香山 乾山意芥子花 徳利 【一対】

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以前にも同手を取り扱いました。徳利全体が意匠となっておりますお洒落な徳利です。


※ご成約済みです。


◎嘉永6(1853)~慶応2(1866)年頃 永楽和全 交趾焼冨貴頭 菓子器

和全 蕗薹菓子器 (4)-2.jpg

和全お得意の、南方系の古作風が抜群に発揮されている作品です。

白檀塗も駆使されております☆


※ご成約済みです。



◎天保8(1837)年 仁阿弥道八 模呉春作 鶴香合  共・九代極め 鵬雲斎玄室箱

仁阿弥 鶴香合 (5)-2.jpg

江戸後期の京焼にのみ見られる「鶴」香合の形状です。

これは「松村呉春」にルーツがあることが今回判明しました。


※ご成約済みです。



◎江戸時代後期 眞葛長造 模仁清 三つ葉蓋置

長造 三つ葉蓋置 (5)-2.jpg

長造の代表的な蓋置です。

藁灰釉の雅な色合いと錆絵、そして造形のダイナミックさの3つ巴がエクセレントなのです☆

ちょっと、お値段が張ってしまいました。。。



◎文政10(1827)~天保11(1840)年頃 永楽保全 交趾写黄大獅子 香合 吸江斎 箱 住山揚甫甲書


保全 大獅子香合 (8)-2.jpg


たっぷりとした「大獅子」です。

保全の初期交趾焼作品の中では最高傑作の部類に入る物です。

当初より千家へ納める為に作られた特別作品でしょう。

1832~1839年迄、製作年代は絞れそうです。


※ご成約済みです。



◎明治24(1891)~大正6(1917)年頃 六代 十三軒吉向 交趾寫大亀 香合 又?斎 箱

六代吉向 大亀香合 (5)-2.jpg

藤田男爵が、末期の病床にて最後に欲した・・伝説の大亀香合の写しです。

六代より吉向家は十三軒と松月に分かれます。

発色・造形が抜群で、又?斎の箱書・朱書があるのも希少です。


※ご成約済みです。



◎文化8(1811)~文政9(1826)頃 仁阿弥道八 祥瑞模 箸立(火入にも)

仁阿弥 箸立 (3)-2.jpg

なかなか洒落たものです。小さな箸立でしたら煎茶用ですがこのサイズは通常の箸立として造られらのでしょうか? 一応、お道具としては火入にも良いかもです。


※ご成約済みです。



◎江戸時代後期 眞葛長造 仁清写眞葛窯 手鉢 共箱 香斎極め付記

長造 刷毛目手付鉢 (4)-2.jpg


現代から見ても、モダンデザインなものです。仁清時代の宗和好みが出ております。

藁灰釉の雅味さ、七宝透かしの繊細さ、刷毛目の鮮やかさ、取っ手の大胆さ、が相まってもはや飾り物にも。


※ご成約済みです。


◎大正時代 永楽妙全 染付写 寄向付 【6客】

妙全 寄向付 (4)-2.jpg


珍しい作品です。手替わりで6種が揃う向付です。古染付や樂等では見られますが永楽では初見です。


※ご成約済みです。



◎文政9(1826)~天保13(1842)年頃 仁阿弥道八 隅田川 香合

仁阿弥 隅田川香合 (4)-2.jpg

型物香合では有名なものです。

永楽や真葛さん等、茶道具作家作品は良くありますが、幕末京焼では実は希少だったりします。

さらに、仁阿弥さんでは大変珍しいもの。

京染付のパイオニアである道八の晩年期の完成された染付技術を感じることが出来るのです。


※ご成約済みです。



◎三代 西村道弥 四方燗鍋 桐地紋 古染付蓋 大西浄長極め箱


道弥 燗鍋 (3)-2.jpg

これは、非常にお洒落さん!です。

古染付の州浜形の蓋に合わせてシャープな間鍋を作られております。

側面の地紋も見どころ。

状態も良しです。




◎唐物 独楽盆(小)

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17cmと小さな独楽盆ですが、味わい深し。

昨今の事情で、正客用の菓子器に良いでしょう。




◎五代 川端近左 朱青海波青漆イジ塗大棗 鵬雲斎好み


※ご成約済みです。



◎伊勢崎満 備前肩衝 茶入 眼鏡箱

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久しぶりに取り扱います。とても良い出来でしたのです~。

お仕覆も2つ+養生用が有るのです。


※ご成約済みです。


◎志ら玉 柴山利彌 唐津写 茶碗


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名古屋では知らない人の居ない?料亭『志ら玉』さんのご主人の手作り作品です。

あまりの巧さで、個展も開かれており中京の茶人様方も人気でお求めになられております。

これもそういう類の出物でございますが、お勧め出来るお茶碗なのです。


※ご成約済みです。



◎春斎耕甫 六兵衛焼 自作茶碗

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両替久田家の八代目である耕甫さんは、作陶の腕も長けていることで知られます。

寛政時代に、初代六兵衛さんの窯で作られたお茶碗でしょう。






【2023年3月のスケジュール】です。


2~3 オークション大会 出張 京都美術倶楽部

6 オークション 大阪南美術会館
7 オークション大会 大阪美術倶楽部

8 ベース 撮影事務

9 東京出張
9~11 オークション出張 名古屋

13~14 オークション大会出張 京都美術倶楽部

15ベース 午前のみ 午後~外回り
16ベース 10時ご予約有
17ベース

18 オークション下見日
19 オークション 大阪美術倶楽部
20 オークション 名古屋美術倶楽部
21 オークション 京都美術倶楽部

22 ベース
23 ベース 午後~
 
24 準備

25~26 『十翔会 特別開催』

会場 大阪美術倶楽部



今月は、とてもオークションが多いのです。。。しかも出張での。

ということは、仕入れた商品の手入れや撮影等にも追われることになります。

ブログ更新や展示会の準備も追い付くか心配なのです[あせあせ(飛び散る汗)]




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【Journal of FUJII KOUNDO】


当ブログは、『藤井香雲堂』の各種インフォメーションをお知らせするものです。

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【BASE 215】 大阪市浪速区日本橋東2-1-5 大阪南美術会館内


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大変ちいさなギャラリーですので、コロナ禍で有りますことと、おひとりおひとりと、きちんとご対応したいのでアポイントメント制となっております。何卒ご理解の程宜しくお願い申し上げます。



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【眞葛長造 仁清写眞葛窯 手鉢】 [幕末京焼]

先日、名古屋出張の際に足を延ばして・・・東京へトンボ帰りで行ってきました☆

目的はこちら。


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『頭から離れない』なかなか、うまいキャッチコピーです。(笑)


実は、展示中の作品のうち結構な数が昨年に市場に出る機会があって、なんとか入手したいと昨年前半は木米木米木米~と研究をしていたので(結果収穫は僅かでしたが)、別の意味で?『頭から離れなかった』私です。


というのもあり、是非この展観は実見しておきたかったのです。


これまで、写真でしか見れなかったものや初見のもの、本当にボリューム溢れる展示内容でした。


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涼盧を超拡大にしたもの。 拡大しても破綻しないディティール。裏面の文字刻印も緻密なのです。


展観は、3月26日(日)迄でございます。


さて・・・『木米』といえば『江戸後期の京焼三大名工』として数えられます。

『木米』『仁阿弥』『保全』

古い文献になると、これが『潁川』『木米』『仁阿弥』となることもあります。

こちらは師事系統でのつながりもあります。


私自身は、常日頃・・・『茶陶』という観点と『幕末』ということから括りで、『仁阿弥』『長造』『保全』を三大名工と申しあげております。

やはり、木米さんはこれら3名に対しては時期は重複するものの、半歩先であったという感が否めないという気がするのです。



仁阿弥道八 (1783~1855) 

眞葛長造  (1797~1860) 

永楽保全  (1795~1854)


それぞれの作品や歴史等は、ちょくちょくJFKでもご紹介致しておりますね。


この3名に共通するのは、先代迄とは圧倒的に異なりある意味『初代』といっても良い技術革新と新たな窯の創造であったことが挙げられます。

しかし、『長造』につきましてはアカデミックな場や、書籍で触れられる機会が少なく・・・

一部の茶人さん方や、美術商の間でのみ人気の工人でありました。

図録等で取り上げられるようになってまだ30年程であり、単独展観ですら平成12年の茶道資料館での『茶の湯の京焼~眞葛長造~』が初のことでした。

これには、眞葛窯がおそらくはほぼ単独での稼働に近い規模であり、作品数が限られていたこと、そして千家ありきでの制作活動でなかったことが要因でしょう。

茶道具がメインでありながら、書付や好み物といった類等は意識せず己の美意識でのみ探求し続けたのが『眞葛長造』なのです。



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【眞葛長造 仁清写眞葛窯 手鉢】


幅    20.6cm×18.3

高さ   21cm

製作年代 江戸時代後期 (1850年頃)

共箱 当代極め添え書き




長造作品の中では、一番大きい部類に入ります。


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轆轤にて形成した鉢をに『繭形』に変形させ、さらに2か所窪ませた部分を『手付』の付け根としております。


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長造の技法の基幹を為す、『藁灰釉』と『銹絵』の魅力が発揮されております。

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造詣のバランス感覚が絶妙です。

『模仁清』でなく『仁清写』と記されており、野々村仁清のテイストにかなり寄せつつ自身の特徴を込めております。

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『壺々紋』を透かしによる意匠にて、3つを1組として配置し、双方2か所に施されております。


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造りはしっかりしており、あやうさを感じさせません。


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お菓子器としては、3~5つはいけそうです。

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珍しく、大判の眞葛印です。


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底部周りを箆にて篠木処理がされております。


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共箱です。


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当代の香斎さんの極めが側面に記されております。


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長造の茶陶は、あくまで『用に足る』ことを意識されており、見た目の派手さや技法だけを全面に出すような造りではなく、使いやすく・・また、使ったときにこそ良さが発揮するような意図が感じられることが多くございます。

『藁灰釉』のクリーム色ともやや青みも感じる優しい色調に、『銹絵』の侘びのある絵付け、そしてその上からも掛けられる釉薬によるにじみや濃淡による変化で、仁清の根本の美しさに迫るものがあります。


茶道資料館の文献にて、『長造の作陶は決して表面的な加飾を特色とするものではなく、作為を一歩ひかえ、繊細な細工で内包させているのである。その作品を仔細に見てゆくと、そこには長造の作品に対する極めて濃厚なこだわりがあり、そうしたこだわりが繊細な作品に存在感をもたせているのであろう。』と評されておりますのは、至って同感することろであるのです!


当店は、2023年の6月『名美アートフェア』と10月『東美アートフェア』にて、この辺を含んだ幕末国焼茶陶の特集を行う予定でございます。

作品もそれに向けて随時ご紹介して参りたいと思います。


※ご成約済みです。



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