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【湊焼 山本窯 十五代吉右衛門 赤茶碗】 銘 『拂子』淡々斎 箱  [国焼(地方窯)]

『堺』『湊焼』のご紹介、続けてみましょう。


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【湊焼 山本窯 十五代吉右衛門 赤茶碗】 

幅   13.1cm

高さ  6.9cm

高台径 5.5cm

製作年代 大正時代頃

箱    淡々斎箱  銘 拂子

状態   口縁に微小ホツレ 高台内側に欠け





『樂家』の三代目、現代に至る迄・・・稀代の名工として名高い、『ノンコウ』(道入)の弟、『道楽』(吉兵衛・吉右衛門とも)が、その名の通り・・・・

若いころに、道楽を重ねたことで樂家から勘当される事態になりました。

その後、『堺』の『大島郡湊村』に流れ着き・・・茶の湯としては本筋の地にて樂焼の窯を開くことになったのです。

ときに、明暦元(1655)年頃といいます。

兄・ノンコウに劣らず名工であったということで、僅かな伝世品からもその伝承は裏付けられると思います。

残念ながら、樂美術館蔵以外としての流通品は、3点程しか目にしたことが有りません。


さて・・・そこから259年(!)の間、道楽窯は続きました。


道楽自身に子が居なかった為、二代目は親戚であった弥兵衛を京都より呼び寄せて継承させたとのことです。

ちなみに、ややこしい話ですが・・・『道楽焼』は何故か『道入焼』との看板を出していたようで、この辺は商売的な要因でしょうか。

そして、のちに理由は不明ですうが、『山本窯』と名を変えることになります。

『山本家』ではきちんと歴代作品や家系図等がきちんと遺されていたのですが、1945年7月10日の堺空襲にてすべてが灰燼と帰すことになるのです。

歴代ごとに印と共に整理されていたと言いますので、大変残念としかいいようがありません。。


初期に堺にてわずかな期間稼働した『宗味焼』、『道楽焼』が湊焼の創始と言って過言ではなく、少し遅れて京都より渡来し、始まった『上田窯』は『道楽焼』にて釉薬などを学んだそうです。


・・・・と、長くなりましたが、最初期から一番長期に渡り存在した『本湊焼』の最後の代の作品なのです。



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『湊焼』のお茶碗といえば、手捻りの樂焼のイメージが強いです。

しかし、この作品は轆轤引きにより薄く、上品に形成され・・・・また、側面には箆目により篠木風の意匠となっております。


形状も端反りです。


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15代目 山本窯の『佐太郎吉衛門』は江戸時代の最後である、慶応3(1867)に生まれ、大正12(1923)年に没します。

まさに、激動の時代です。

15代は、雑器類は京都より招聘した職人に任せ、自身は茶人としての活動を中心に、茶陶のみを作っていたようです。

工人、としてだけでなく、この辺の事情からもこのお茶碗の品性がいわゆる湊焼との差を感じさせるのでしょうか。


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山本窯は、西湊町の浄土真宗 本願寺派『延長寺』と代々親交が深く、作品も道楽時代からのものが遺されてるようです。


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微小ほつれ部分

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さらに微小な・・


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高台の内側の欠けもそんなに気になりません。


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湊焼 赤茶碗 淡々斎 (2)-1.jpg


淡々斎の箱になります。

十五代は『圓能斎』の没する前年に亡くなっておりますので、この書付は後年によるものです。


銘である『拂子』(ほっす)

中国の禅宗では僧が説法時に威儀を正すのに用いるものです。


茶席の銘としましては、通年使いの無季の銘となっております。


そういう銘では他には代表的に抜粋しますとこんなラインナップになります。


無事、常盤、末広、瑞雲、和敬 好日、佳日、千歳、和心、松風、松籟
松翠、老松、相生、古今、無心、吉祥、福寿、閑居、閑坐、不老、知足
洗心、払子、喫茶去、無一物、千年翠、庵の友、千代の友


禅語としてはいかようにも深く読めますが、他社を導く為の言葉ではなく・・・

むしろ、自身を律し、背筋を伸ばしてお客様をお迎えするという意識としての御銘でしょう。


状態としては問題なくお使いになれるものですが、お値段として反映させていただきお使い頂けやすくご紹介致します。


※ご成約済みです。



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