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【2024年2月 新入荷情報&スケジュール】 [新入荷]

【2024年2月27日 新入荷 画像追加】



先日は、大美アートギャラリーへ多数のご来場、ありがとうございました。

初日は、あまりに同じ時間に殺到されてしまいまして、せっかくお越し頂きましたのにご挨拶程度しか出来ず、の方々もいらっしゃりましたもので・・その節は、誠に申し訳ございませんでした。(;^_^A


来年は、一応?万博開催記念・『大美特別展』でございます。

どうぞ、来年も皆さまのご来訪を心よりお待ちして申し上げます。




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《終了致しました》


23日~25日に開催されます『大美アートギャラリー』の準備が整いました!

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関西を中心に古美術・書画・絵画・刀剣・近現代美術・茶道具・刀剣などあらゆる51軒の美術商が出展するイベントです。

皆一律の共通サイズのブース形式のため、大変見て回りやすくなっており・・・店舗はもちろん、アートフェアでのブースでもちょっと、入りにくいとか数が多すぎて観るのが大変!、正札会形式では商品が多すぎて魅力が発見しづらい!というのが払拭されており、お愉しみ頂き易いかと思います。

また出展者は、一定の条件を満たし、厳格な審査を経て加盟出来る「大阪美術商協同組合員」のみで構成されておりますので 安心してお求めいただけます。


当店も、インスタグラムにてカウントダウン商品紹介中です☆


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アートギャラリーは、百貨店催事の設営業者さんにより、手軽な設営となっておりますので・・・展示がどうしても百貨店に近似した感じとなっております。



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今回は、厳選した「30点」を持参しております。

皆様のご来場を心よりお待ち申し上げております!






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<過去日記>

東京から、帰ってきました☆


帰路はマイルサービスがあったので、久々の、飛行機だったのですが・・・・スターフライヤーは、バスで滑走路からの搭乗で・・・

あの、場所の目の前だったのです。。


しかし、夕暮れの雲の上のフライトは綺麗でした。(外気温マイナス45度!)

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【2024年1月末~2月の新入荷情報です。】



◎富本憲吉 色絵 灰器(香炉) 銀穂屋

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お客様からのお預かり品です。

上品な穂屋が誂えられた、小品なのです☆


※御成約済みです。


◎四代 川端近左 唐物写箔絵 煮物椀 【9客】

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見たことの無い、特注品の逸品です。1客が小イタミがありますので・・・とりあえず、9客としてご紹介致します。

御所望の場合は、別途1客を補修しての10客にも致します。


※ご成約済みです。



◎文政9(1826)~天保13(1842)年頃 仁阿弥道八 黄伊羅保 茶碗

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なかなかの優品ですよ!


※御成約済みです。


◎嘉永6(1853)年 永樂和全  仁清写唐草 茶碗 而妙斎 箱 即全極

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これは、一目ぼれ。。。和全の御室窯での初窯の時の作品です。


※ご成約済みです。



◎明治10(1877)~29(1896)年頃 永樂和全  仁清焼橋之絵 鉢

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和全の晩年の作品です。



◎江戸時代 古染付 呉須鹿図 茶器  蓋 二種添

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はんねら風のやきものの蓋と、螺鈿の蓋が添います。 元は「杯台」だったようです。

※ご成約済みです。


◎江戸時代中期 啐啄斎 手造黒茶碗 飛石彫 銘 閑居 共箱 而妙斎外箱

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半世紀を家元として活躍された、啐啄斎の手造りです。

「飛石」「竹垣」が箆彫りにて描かれ・・そして、銘が!


※御成約済みです。


◎明治期 八代 上田吉右衛門 寿老 香合 即中斎 箱

湊焼 寿老香合 (5)-2.jpg


※御成約済みです。


◎天保11(1840)年 永樂了全 直斎好古丹波萬歳丸写 釣花入  以心斎 箱

永樂了全 萬歳丸写花入 (4)-2.jpg

了全の古希の際に、三千家それぞれに伝わる・・・名器を永樂流として、瀬戸釉にて作られた好みの一つです。

この個体は、後年の以心斎の箱になり、朱書きもあります。


※売却済みです。



◎文政9(1826)~天保13(1842)年頃 仁阿弥道八 黒 茶碗

仁阿弥道八 黒平茶碗 (6)-2.jpg

やや、平形状ですが蔵番の札には「冬」と分類されておりました。

この上がり・・はノンコウと一入の良いところを合わせたような素晴らしさが在ります。

逸品です。

小大丸旧蔵品。


※ご成約済みです。



◎明治元(1868)~3(1870)年 初代 眞葛香山 虫明焼紅葉之絵 茶碗 伊木三猿斎 箱

初代香山 虫明焼紅葉茶碗 (6)-2.jpg

伝世している99%が贋作ともいわれる、『虫明眞葛』の特Aクラスです。

小大丸旧蔵品。


※御成約済みです。



◎佐久間勝山 三嶋四方耳付 水指 虫明焼玄々斎好み写

勝山 虫明写四方水指 (1)-2.jpg


小庵200回忌に際して、文久2年に伊木三猿斎が虫明焼にて小庵所持のものを写して30個製作させた、玄々斎好みとなる有名な水指の写しです。

※ご成約済みです。


◎久田無適斎 竹茶杓 銘 千代の友 黒田宗傳下削


※ご成約済みです。


◎久田無適斎 竹一重切花入 銘 松風 黒田宗傳下削


※ご成約済みです。



◎松ノ木 開扇香合

松 開扇香合 (2)-2.jpg

作者不明ですが、上品なものです。楠正義が、斥侯の為に登ったという『松』の木を以て造られたようです。現在はその松は消失して現存しておりません。
意匠は藪ノ内流の好みに則ったと記されております。


※御成約済みです。


◎二代 眞葛香山 仁清意 蛤香合 源氏物語画

二代香山 仁清意蛤香合 (5)-2.jpg

『長造』のものをベースに、香山がアレンジしております。

お雛様でなく、源氏物語であるところが面白いところなのです。


※御成約済みです。


◎明治時代 初代 伊東陶山 七宝繋ぎ文小壺 合わせ箱


※御成約済みです。


◎嘉永元年頃 永楽保全 河濱焼鶴ノ絵茶碗 不識斎好み

保全 河濱焼鶴ノ絵茶碗 (3)-2.jpg

なかなかの、ハイレベルな仕上りです。

桃山陶のテイストが凝縮されてます。





【2月のスケジュールです】


2日

5日
6日 オークション (大阪南美術会館)
7日 オークション (大阪美術倶楽部)

   午後~ベース

8日 オークション出張(神戸)
9日 ベース

13日 ベース ×
14日 ベース
15日 ベース
16日 ベース

19日 オークション(大阪美術倶楽部)
20日 オークション(大阪南美術会館)~茶会参席
21日 オークション出張 (京都美術倶楽部)
 
22日 搬出・搬入

23日~25日 『大美アートギャラリー』(大阪美術俱楽部)

26日 ベース 午前:搬出~搬入    15~16時 ご予約有
27日 ベース △  15時半~ご予約
28日 ベース ✕
29日 ベース 



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【仁阿弥道八 茶碗考③】~高麗写し~ [幕末京焼]

さて、次は『高麗系統』です。


『仁阿弥道八』のお茶碗の中では、一番主力作品といっても過言ではないでしょう。


『書院茶』から、『侘び茶』へと移行する中、お道具も『唐物』から『高麗物』へと嗜好が変わってきました。

当初は、現地で存在した『飯茶碗』等の「見立て」転用であったようですが・・・桃山時代末期から江戸時代初期には、日本からの「注文品」を現地で製作し日本へ送らせたので「茶陶」を意識されたものになっております。


天文6(1537年)に開かれた、『十四屋宗伍』という珠光の弟子であった茶人の茶会記に於いて、「高ライ茶碗」という記述が最初といわれます。


『唐物』ほどでは無いものの・・・今風にいう所の、『オーダー輸入品』ですから、国内に於いておいそれと、手に入る物では有りません。

江戸時代も後期になりますと、町衆にまで茶の湯が広まってくる中で・・・『高麗写し』の需要が高まってくるのは当然なのです。


江戸後期では、『青木木米』も高麗写しを作っておりますが、基本的に京焼界では『清水六兵衛』が初代から二代へと継承された頃です。


同時代としては、『永樂保全』『眞葛長造』が存在しております。

『仁阿弥道八』と併せて、幕末京焼の三大名工と称されます。(『茶陶』中心として)


『高麗写し』という側面から見ますと・・・


『永樂保全』は全体の中で僅かにしか、存在しません。


『御本写し』『唐津写し』の『2シリーズ』です。


また、さらに希少なものでは『雲鶴青磁』が在ります。


『眞葛長造』はさらに少なくなり・・・同じく、『雲鶴青磁』と他には『三島』位でしょうか。



その点、『仁阿弥道八』は高麗茶碗のうつし、ほぼフルラインナップと云っても過言では有りません。


『三島』『刷毛目』は数が多く、凡作も多数存在しますが、他は概ね素晴らしい出来栄えです。


この辺は、『建仁寺』との深い縁関係が影響しています。


建仁寺に伝世している作品群を手にし、研究出来たであろうことは大きなアドバンテージでしょう。


しかし、それ以前に仁阿弥の精神性の高さが作品たちに反映されていると思います。



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【仁阿弥道八 黄伊羅保 茶碗】


幅   14.6cm

高さ  6.7cm

高台径 5.1cm

製作年代 文政9(1826)~天保13(1842)年頃

箱   共箱



『黄伊羅保』のうつしになります。


仁阿弥 伊羅保茶碗 (5)-1.jpg


目跡、も再現されております。


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きちんと、石が混じり込んで作られておりますが、イライラする感じはなく・・・上品な作行きです。


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丁寧な轆轤形成のあと、高台周りは箆で丁寧に削り出してます。


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高台内に『仁阿弥』三文字小印が押されております。


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仁阿弥 伊羅保茶碗 (2)-1.jpg


共箱です。


仁阿弥 伊羅保茶碗 (4)-1.jpg


この作品と同じ時期の製作になるものが、『東京国立博物館』にも所蔵されております。

展示されることもあります。



重量は「237g」であり、こちらもまた重すぎず・・・良い感じなのです。


仁阿弥の伊羅保は、伝世数というより・・・流通量としましては珍しい部類に入ります。


しかし、このお茶碗はそれらの中でもさらに出来映えは「上」と云いましょう☆





長くなりましたが、『仁阿弥道八 茶碗考』シリーズは新しく道八茶碗が手に入りましたら続きます。


※御成約済みです。





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【仁阿弥道八 茶碗考②】~『道八樂』の魅力~ [幕末京焼]

『道八樂』、は大きく3種に分類して良いでしょう。


まずは、『利休好み写し』


これらは、『写し』を意識するあまり・・・形状にどことなく、道八の力量を制限された感じで、受ける印象は「端正」ではありますが、面白みには欠けるように思えます。


次に、『道八様式』


『樂焼』というキーワードで存分に腕を奮った作品です。

『富岳文』は朧な雪景色のようでもあり、発色も含めて絶品です。

また、『朱釉』の茶碗は・・・近年、あまりに『一入』作品が多すぎるというのが実は『玉水焼』であったものが混入している可能を指摘されており、その朱釉の技法は『一入』の子であった『一元』が一時、本樂にて従事していたからこそ、と云われます。

しかし、仁阿弥もなかなかの発色具合なのです。


三つ目は、『追慕、注文』系統です。


『乾山』を意識した『立鶴絵』や文字入りなどの作品にあたります。



それでは、『道八様式』の『道八樂』をご紹介致します。




仁阿弥道八 黒平茶碗 (5)-1.jpg


【仁阿弥道八 黒 茶碗】


幅   12.1cm

高さ  6.2cm

高台径 4.6cm


製作年代 文政9(1826)~天保13(1842)年頃

箱   共箱




形状も発色も見事なお茶碗です。


反対側もこのように・・・


仁阿弥道八 黒平茶碗 (7)-1.jpg



仁阿弥道八 黒平茶碗 (9)-1.jpg


重量、薄さなど・・・お茶碗としての用に適ったものであります。


仁阿弥道八 黒平茶碗 (10)-1.jpg


高台周りも巧く出来上がっております。


仁阿弥道八 黒平茶碗 (11)-1.jpg


『仁阿』の2文字印です。


仁阿弥道八 黒平茶碗 (1)-1.jpg


仁阿弥道八 黒平茶碗 (4)-1.jpg


共箱です。


仁阿弥道八 黒平茶碗 (2)-1.jpg


大阪、心斎橋の『小大丸』の旧蔵品です。 優品の表流道具類と共に蔵出しされました。

平茶碗、のように見えますが深さもあり・・・蔵の貼り紙には『冬』とも分類されております。


「使う方」の「使い方」、ですね!



『道八樂』の印象は、『吉左衛門樂』に比して・・・やや華奢、であり、またどことなくアーティスティックであります。

千家に直接通じる、『茶陶』窯としての樂家の「造り」との違いがここに出ていると思います。


仁阿弥道八 黒平茶碗 (6)-1.jpg




次は、「高麗系」になります。


※商談中です。


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【仁阿弥道八 茶碗考①】~展観にみる、分布から~ [幕末京焼]

現在、『仁阿弥』のお茶碗が現在2碗、手元にありまして、アレコレと思いに耽る中・・・

ちょっと「仁阿弥 茶碗考」なぞ、していようと思います。

いつもでしたら、作品紹介に付随しての記載なのですが、ちょっと長くなりますのでお茶碗の紹介と併せて3部構成で参ります。(^^;



『仁阿弥道八』は、その高名さは幕末陶工の中では群を抜いてメジャーです。

もちろん、「技」の凄さはもちろんではあるのですが、寺社・宮門跡等からのご縁で、各地へ招聘されたりしたことで評価が広範囲に渡り、その効果でしょうか・・・日本各地に作品が伝播しておりますのが要因でしょう。

東京国立を始め・・美術館にも、あちこちに道八作品が所蔵されていることも、現代ではプラスに働いております。

しかしながら、『仁阿弥道八』単体での展観、というのは「安政2(1855)年」に仁阿弥が没してからの約170年の間に「2度」開催されたのみのようなのです。


◎昭和3(1928)年 5月12日~16日 (短ッ!)

 京都帝室博物館   『陶工 仁阿弥道八 作品展』


◎平成26(2014)年 12月20日~平成27(2015)年3月1日

 サントリー美術館  『天才陶工 仁阿弥道八』


他に、昭和13(1938)年に大阪市立博物館で、『一方堂』を中心にした展観が在ったという話ですが、内容は未確認です。


そもそも、当店が深く興味を抱いております、「幕末京焼」は近年に至るまで美術館の展観としてはスポットが当たってこなかったのです。

200年といった、年月の経過と共にようやく最近では表舞台に立ちだした感が在ります。


さて、先述の「2度」の展観の出品目録の中から・・・「お茶碗」に絞って調べてみます。



◎京都帝室博物館   『陶工 仁阿弥道八 作品展』

《茶碗出品総数 39点》


仁清・色絵   8

乾山      2

樂  黒    3
   赤    4

瀬戸黒     1

高麗 井戸   1
   三嶋   5
   蕎麦   2
   伊羅保  3
   珠光青磁 2
   御本   1
   半使   1
   刷毛目  2

桃山      1

他       2




この、数の分布は・・・私の経験上、近年の伝世品の流通状況に非常に近似したバランスに思えます。

「没後73年」といった当時ならではの、多岐に渡る所蔵者・・・おそらくは1次もしくは2次所有以内であることから、優品が揃ったことでしょう。



次に、10年前の方です。


◎サントリー美術館  『天才陶工 仁阿弥道八』

《茶碗出品総数 38点》


仁清 色絵   9

樂  黒    12
   赤    5

高麗 三嶋   1
   蕎麦   1
   伊羅保  2
   珠光青磁 1
   御本   1
   トトヤ  1
   絵高麗  1

桃山      1
暦手      2
朝日      1
 

前者に比して、見当たらない技法もある代わりに、新たな技法のものの見られます。

『国焼写し』が登場しております。


京都の茶人・茶道具商の間で、永らく高い評価を受けてきたのは、この内で『志野 永井信斎所持 年男 暦手 写し』でしょう。

幕末期は、特に人気だったのか・・・樂了入や、他の陶工での写しも確認しております。


しかし、やはり『仁清写し系』『樂』『高麗写し系』

この3種が道八の真骨頂と云えます。


仁清系は、当時の「絵師」とのコラボレーション作品も、道八作としてはポピュラーです。

それらは、大概にして・・・「侘びた」様相で「雅味」のあるものです。

しかし、本人による「色絵」は・・・ちょっと、評価が分かれるところでしょう。

実の弟であります、『尾形周平』にも共通する感じも在ります。


また、私自身も扱ったことが在りますが、「丸々」仁清写し・・・という作品が、確認されております。

それは、「仁清」印を用いており、共箱が無ければ道八作品とは確認し難いものです。

所有時は、最後まで腑に落ちず・・・しかし、作行きはどうにも道八であるのでした。

どうやら、この僅かに存在する「仁清写し」は、それ専用に「高橋家」が用意した「印」が用いられてるという説もようやく知りえました。

引き続き、今後も調査しますがここに記しておきます。



さて、『樂』系統です。


本樂(という呼び方で良いのかどうかですが)、が近所に存在しておりますのに、何故??

しかも、特に黒樂に至っては・・・仁阿弥は特に巧い!のです。


国焼研究家で知られました、故・保田憲司氏は道八の樂を高く評価しておりました。


近年、『樂直入』さんによる『玉水焼』の研究発表が為されました。

そこに至るには、過去・・・孤軍奮闘された『保田憲司』氏の『玉水焼』研究もベースにあったようですが、その・・・愛するあまりに私見が私情と紙一重な内容が、私個人は共感を覚えるところでは有りましたが、直入さんはあまり快く思われなかったようです。(^^;


しかし、その中の文面から・・・推察されることが在りました。


『本樂』というものの世間での「立ち位置」です。

もちろん、確実な評価とレベルで存在はしておりましたが、その流通範囲は、「金額的」もしくは「生産数」的な面で限定的であったかもしれません。

「脇窯」と簡単な紹介で現代に伝わる『玉水焼』が、実は京都市 ⇒ 京都府 という範囲で見た際には『南樂家』として「双璧」として認識され、一般人にはより身近な楽焼あったという可能性があります。

それでなければ、3千家の書付が当時より存在するのも、また中断期を挟んで幕末期に復興窯(と呼んで良いのか分かりませんが)迄稼働していたこと・求められていたことの説明が付かないのです。


そこで、『道八樂』(と称してみましょう)。

明治に入ってからの三代では見られなくなる「楽焼」ですが、初代・二代では主力作品であります。

ここには、上記のような世相・流通状況の中で・・・『樂焼』の需要が確実に存在したからということの裏付けとなります。


保田氏はノンカウに匹敵するともおっしゃられておりましたが、いいものは確かに良いのです!


次のブログでは樂焼作品をご紹介致します。


⇒ 続く



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【三代 清水六兵衛 萩写寿文字 大綱和尚筆八十翁】 即中斎 箱 [幕末京焼]

六代 六兵衛さんのご紹介の次は・・・ちょっと、遡りまして。

三代のご紹介でございます!


三代六衛衛 萩写茶碗 大綱和尚筆 (6)-1.jpg


【三代 清水六兵衛 萩写寿文字 大綱和尚筆八十翁】


幅    11.8cm

高さ   11.1cm

高台径  5.5cm

製作年代 嘉永5(1852)年頃

箱   大綱和尚 箱、即中斎 箱 眼鏡外箱




三代六兵衞は、1820(文政3)年に、二代の次男として生まれました。

1838(天保9)年に18歳で三代を襲名します。

この時、二代六兵衛はまだ、48歳と隠居にはまだ若い年でありましたので、二代・三代は現役状態で両輪を回すことで『六兵衛』家を盛り立てたのです。


初代の後に、若干の中断期を経て二代が再興したのですが、三代が中興の祖と言っても過言ではありません。


嘉永元(1848)年に、五条坂の登窯を買い取ることになり、『清水家』はついに『窯元』となりました。

江戸時代、『窯』は限られた数の決まったものでした存在が許されなかったため、既存の『窯元』で焼成をしてもらうのが大半でありました。

それは、交流と技術伝播の場でもあったので、京焼発展の元となるのですが、やはり『窯元』になることはひとつのステータスであったのです。


嘉永6(1853)年に禁裏御所内に陶製雪見大燈籠を納め、また、彦根藩主・井伊直弼や将軍・徳川慶喜を輩出した一橋家、京都所司代など、諸家の注文を受けました。

元治2(1865)年、天皇の行幸の天皇の鳳輦をかつぐ駕輿丁にも任じられるなどの栄誉にも預かります。

幕末から、明治維新にかけて・・・ 文人、画家との交流が深くし、文人趣味に適した煎茶器を製作しましたが、他方では・・新しい時代に即した新様式の作品にも積極的に取り組みます。

これは、後代にも受け継がれる六兵衛家の家風でもあり、三代の時に『六兵衛様式』が整ったのです。


明治6(1873)年、『京都府勧業御用掛』となり,染付の洋食器を造り,伊羅保や織部釉のタイルなども製造。

明治8年『第4回京都博覧会』で新設された制度の審査員となり,あわせて銅牌も受賞。

明治11年のパリ万国博覧会と明治12年のシドニー万国博覧会では銅牌を,16年にはアムステルダム万国博覧会で銀牌を受賞します。

まさに、時代と共に発展していったのです。


さて、時代を少し戻しましょう。



時は、嘉永5(1852)年頃。



大徳寺の435世である、『大綱和尚』の「80歳」の記念に製作されたのが、この作品です。


三代六衛衛 萩写茶碗 大綱和尚筆 (7)-1.jpg


側面に、大綱和尚の筆による『八十翁 (花押)』と描かれております。


三代六衛衛 萩写茶碗 大綱和尚筆 (8)-1.jpg

内側にも、大綱和尚にゆる『寿』の字が。


三代六衛衛 萩写茶碗 大綱和尚筆 (9)-1.jpg


優しい、色調とフォルムです。

樂長入を思わせるような赤色ですが、薄い鼠色のような感じもまじりあってます。


側面に少し、「窪み」をつけております。

これにより、「笑み」というような感じとなり・・・元気な老僧がにやり、としたようにも感じてしまいます。(^^;




これは、『萩写し』として製作されました。


『萩焼』は、当時・・・茶陶においては民間での需要が増大しており、藩庁は文化12(1815)年と天保3(1832)年の二度にわたって、『松本焼』の「濃茶々碗」に紛らわしい茶碗の製造と御用窯以外での『大道土』使用の禁令を出しています。

それは、萩焼の粗製乱造による混乱と、藩窯としての厳しい統制という締め付けという歴史の中、良い萩焼が手に入りにくい世相でもありました。

また、幕末期は『萩焼』の写しのニーズも高く、『赤膚焼』での『木白』や尾張でも『萩写』の作品が多く見られます。

もちろん、京焼でもしかり。

それらは、『写し』というより『テイスト』を持ち込んでそれぞれの諸窯での製作による『別のモノ』
として生まれ、伝世することになるのです。


この作品も、むしろ云われないと、萩焼の写しといは分かりません。

胴締めの形状、大きく貫入の入った景色位です。

しかし、高台側を見てみましょう。


三代六衛衛 萩写茶碗 大綱和尚筆 (10)-1.jpg

この、割高台の形状や、土の感じ。

三代六衛衛 萩写茶碗 大綱和尚筆 (11)-1.jpg


所謂、六兵衛っぽさはその作行きのベースではしっかり見られるものの、作品としては大変珍しいものです。


『大綱宗彦』(だいこうそうげん)安永1(1772)年~万延元(1860)年

大徳寺435世であり、大徳寺塔頭黄梅院第14世住職でした。


6歳で黄梅院に入り、大徳寺409世で梅院第13世住職である融谷宗通に師事し、文政3(1820)年に大徳寺435世に就任しました。


和歌や茶の湯に深く親しみ、裏千家11代『玄々斎』、表千家10代『吸江斎』、武者小路千家7代『以心斎』と交流しました。

公家等にも広く交友があり、当時の文化サロンの主のような存在であった節が在ります。

喝喰として自身が面倒を見ていた後の『永樂保全』の才能を見抜き、了全に養子にするように段取りしたことも有名です。

そんな、大綱和尚ですが、没時88歳と当時としては長命であり・・・まだ人生の途中であった『80歳』の祝いとして製作されたのが、このお茶碗です。


三代六衛衛 萩写茶碗 大綱和尚筆 (3)-1.jpg


『清水六兵衛 萩寫 寿之字 拙筆 八十翁 大綱』


三代六衛衛 萩写茶碗 大綱和尚筆 (4)-1.jpg

別箱として、即中斎の箱書きも添います。


三代六衛衛 萩写茶碗 大綱和尚筆 (5)-1.jpg

このような、仕覆も大切に誂えられております。

三代六衛衛 萩写茶碗 大綱和尚筆 (1)-1.jpg

眼鏡箱の外箱になります。


三代六衛衛 萩写茶碗 大綱和尚筆 (6)-1.jpg


京焼の珍しいものとしても、また国焼のコレクションとしても、そして・・千家道具の組み合わせとしても愉しめる作品となっております。

造り手の技により、薄い造りや凝った造形に、適度な重量感が下部の方に配置することで樂茶碗とはまた異なる、風格として『主茶碗』としてお使いいただきたく思います!

※御成約済みです。


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【六代 清水六兵衛 イラボ 梅香合】 [近代工芸]

昨日あたりから・・・ここ数日は、暖かい日和が続くようです。

さっそく、「梅の開花」が始まってるというニュースが聞かれてきました。


ということで、「梅」の作品のご初回です。



六代六兵衛 イラボ梅香合 (3)-1.jpg


【六代 清水六兵衛 イラボ 梅香合】


幅 6.5cm  高さ3.2 cm

製作年代 1950~60年代頃


戦前の、西日本の巨匠といえば・・・『五代 清水六兵衛』です。


『東の波山、西の六兵衛』と称されたほどです。


そういった、先代から「代」を継承するのはとても大変なことであり・・・

ましてや、『六兵衛家』といえば、京焼の於いては、江戸の中後期から続く名門です。

名が知られる名工たちは多数居れど、続いてる窯元・・・というのは、京都の長い歴史の中でも稀有な存在であります。

18代目を数える『永楽善五郎』は、元は奈良が発祥で、堺を経て京都へ移り『了全』からです。



『竹内栖鳳』『山本春擧』などといった、京都画壇から日本画を学んだ六代六兵衛ですが、が・・・、兵役を経た後の大正14年から、五代に師事して製陶全般を学びました。


昭和20(1945)年に『六代 清水六兵衛』を襲名し、様々な新しい釉薬技法を開発しました。


それらは、偉大な五代の古典的な京焼からの、飛躍・・・昭和モダンともいうべき新解釈であったのです。


1947年 唐三彩釉完成。

1953年 新釉を創案、「銹泑」(しゅうよう)

1955年 新焼成法を創案「玄窯」(げんよう)

1971年 六代清水六兵衛「古希記念回顧展」に際して『古希彩』が発表となります。




今回、ご紹介する作品は、「銹泑」(しゅうよう)の技法を使って高麗の『伊羅保』を再解釈したものです。


六代六兵衛 イラボ梅香合 (5)-1.jpg


開花した「槍梅」を見事に表現しております。


梅 開花.jpg

梅.jpg


六代六兵衛 イラボ梅香合 (6)-1.jpg


内側は金彩です。



六代六兵衛 イラボ梅香合 (7)-1.jpg


個展の際の貼り紙が残っております。



六代六兵衛 イラボ梅香合 (4)-1.jpg


『伊羅保』といった、重厚な作風を・・・・絵画的なアプローチと、近代の色彩感覚で新たなモノへと生まれ変わらされております。


六代六兵衛 イラボ梅香合 (1)-1.jpg

六代六兵衛 イラボ梅香合 (2)-1.jpg


共箱です。


『六代 清水六兵衛』は、晩年までパワフルに突っ走りました。


1972年  勲三等旭日中綬章受章。

1974年 「六代清水六兵衛作陶五十年記念新作展」を開催。

1976年 文化功労者となる。

1978年 東京、京都、大阪、岡山にて「清水六兵衛歴代名陶展」開催。
     
しかし・・・


この東京日本橋の高島屋での歴代展の開会セレモニーで、登壇し挨拶をしてる最中に倒れ、そのまま還らぬ人となってしまったのです・・・。


1978年4月17日のことでした。


没後、「正四位」に叙せられ、「勲二等瑞宝章」が贈られました。


六兵衛は、その後・・・・七代、八代と代は重ねますが、もうかつてのような輝きは失ってしまったのです。

名門陶家、の継承とはいかに難しいか、ということでしょう。。



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