SSブログ

永楽善五郎 回全 (西村宗三郎) 御室写水指 [新入荷]

またまた、永樂の珍しい作品のご紹介になります。

DSC_6459-1.jpg

永楽善五郎 回全 (西村宗三郎) 御室写水指


西村宗三郎・・・あまり聞きなじみのないお名前と思いますが、(当ブログではいつぞや、ご紹介致しましたが)それもそのはず。

十三代 回全を授けられたのは没後のことであり、生前も特に名乗っての作品はほとんどございません。

この方、江戸後期の漆の名工、佐野長寛の次男です。

保全と長寛の仲が良かった縁で、永樂家に弘化4年(1847)に養子に迎えられます。

保全が和全に家督を譲ったあとに、”善一郎”家として別家しようと考えたことからの行動ですが、そのことで保全と和全の仲に亀裂が入ることにもなりました。

それとは別に、宗三郎は保全の作陶を良く助け、保全の晩年には宗三郎の作になるものが数多く存在します。

また、和全の方にも大いに力を尽くし、御室窯を一緒に開窯し仁清からの流れを汲む佳品を製作することになります。

作品に戻りましょう。

DSC_6460-1.jpg

この作品も御室焼・・・仁清の意匠を写した水指で、その釉調や口の輪花の感じにその流れが見て取れます。

昔は、和全作品と混同されていたようですが、永樂即全が昭和63年に”源氏物語五十四帖”という即全の集大成というべき逸品展を行う際に、永樂家としては史上初となります”歴代展”も実現することが出来ました。

DSC_6457-1.jpg

その際には、永樂回全(宗三郎)作品として紹介されております。

DSC_6456-1.jpg


DSC_6462-1.jpg

”河濱支流”印になります。

DSC_6464-1.jpg

共箱

DSC_6465-1.jpg

共箱 底  

五十の内

DSC_6463-1.jpg


外箱に当代極箱がございます。このまま書付にも出せますね。

DSC_6461-1.jpg

当時の塗蓋も付属します。 また違った顔を見せてくれます。

サイズは輪花の部分で15㎝ 柄杓を入れる口で12.2cm 高さは18.8cm つまみ部分まで含みますと20cmです。

”運び”にも”棚”にも合わせやすい水指です。


DSC_6459-1.jpg


西村宗三郎 明治九年(1876)一月二十九日に四十二歳で没します。

後に、永樂家への大きな貢献度から、十三代 回全として歴代に数えられることとなりました。

幕末から明治の激動期、名工であった保全と和全の性格の異なる親子の元で決して前へ出ることなく控えめながらも確かな実力を備え、残した足跡は・・時代を超えて残り続けることでしょう。


nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。