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田中煌又(幸衍)三友棗 井口海仙 好み [茶道具]

ずいぶん昔に・・・一度扱ったきり、ご縁の無かった茶器です。

そもそも、本歌の出物自体がほとんど無いのです。

久々に手に入りましたのでご紹介致しましょう。


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【田中煌又(幸衍) 三友棗 井口海仙 好み】



大変珍しい意匠です。 三角形です。

一閑塗に、片木目にうるみ塗となっております。


この、『三友』というのは『雪月花』のことを指します。


雪月花(せつげっか)・・・・は、唐時代中期の詩人であります『白居易』による読み詩「寄殷協律」の一句にあります、「雪月花時最憶君(雪月花の時 最も君を憶ふ)」という言葉からです。

雪・月・花という四季の中にある美しい情景を盛り込んだものです。


本来は、この3つの要素が同時に含まれる状況の風情を指しているのですが、昨今では・・・『冬の雪』、『秋の月』、『春の花』とそれぞれの季節に分けて解釈をされております。


雪の積もる中・・・・夜空には月が輝き、その光に照らされて浮かび上がる枝に宿る梅の見事な様を思い浮かべる言葉が元だといわれております。


雪月花が共存する、この棗・・・井口海仙のお好みです。


海仙は淡々斎の弟の茶人で、様々な研究の著書を始め、自身の考案による洒落ていながらも実用的な斬新な御道具をプロデュースしていることでも知られます。

三友棗、という言葉では淡々斎によるお好み物で、宗哲作のものがありますが弟である海仙の好みではこのようなモダンなものになっております。


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蓋は正面として使う面に合わせて目を変えることが出来ます。

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蓋裏には花押があります。

海仙はお棚でもすべてのお点前が出来る、可変式の棚も考案しており現在の住宅事情や懐事情・・・さらには次世代の感性に訴えかける少し進んだ茶人さんでありました。

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曲げの共箱になります。

作者は田中煌又(こうゆう)、箱書用の号は幸衍(こうえん)と言い、1939年生まれの京塗師です。

井口海仙は、好み物の製作に十職ではない京都の作家を取り立てるのですが、そのクオリティ等へのこだわりは十職以上であったと思います。


茶碗、水指、この棗と併せて『〇△□』にしても良いですし、西洋モノを合わせてテーブル等でのモダンな取り合わせも面白いかもしれませんね。


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※ご成約済みです。

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