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【二代 眞葛香山 仁清意面箱 香合】 即中斎書付 [眞葛香山]

お待たせしました。お待たせしすぎたjかもしれません・・・。(^^;


半月ちょっとぶり、の作品紹介です。


今回も、マニアックですよ☆




「能にして能にあらず」



能の演目の中でも、別格と云われる『翁』を紹介されるときに、謳われる言葉です。


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神聖な儀式であり、演者は神となって天下泰平、国土安穏を祈祷する舞を舞います。


この演目は、神聖な儀式でもあり・・・『翁』を演じる役者さんは、上演前に7の倍数の日数を、『精進潔斎』の生活を送り、心と体を整えて舞台に臨むそうです。

生活に使う火も、家族とは別のものを使用するという徹底ぶりだとか。。。


その舞台は、注連縄を張って場を清められ、鏡の間に『祭壇』を、面を納める『面箱』、『神酒』などを供えて儀式が行われます。

また観客も、翁の上演中は一切の出入りを禁じられるようです。


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今回、ご紹介する作品は・・・・その、『面箱』をテーマにした香合です。


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【二代 眞葛香山 仁清意面箱 香合】 


幅  5.5cm×4cm

高さ 4.4cm

時代 大正時代後期 (大正8~15年)頃

箱  共箱 即中斎書付  直書き有




こういった意匠は珍しいものです。


香合というものは、外国から渡来した型物香合や、江戸時代初期の京焼創成期に生まれたものの写し、といったものが主に製作されます。

しかし、香山はトラディショナルなモノの合間に(もしろそれよりも多くの)オリジナリティ溢れる香合を多数生み出します。

それは、初代の後期から始まり・・・・二代の時に全盛期を迎えます。



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黒釉をベースに、緻密な金彩にて唐草紋様が全面に散りばめられます。


角は、金具を模した絵付けも。


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紐は極彩色にて、翁の面は素焼きに薄い施釉で窯変的な反応を起こさせ、味わいを深めております。



『翁』はかなり古くから伝わる曲であり、そのルーツは謎に包まれています。


『世阿弥』が記したもので、元は・・・父尉(ちちのじょう)・翁(翁面(おきなめん))・三番猿楽(さんばさるがく)の三番を組み合わせたもので、それぞれ老体の神が寿福を祈願して舞うものだったのが変遷し・・・のちに父尉は演じられなくなり、現在は千歳→翁→三番叟を舞うようになったようです。

能に関して、知識が無いもので・・・あまりご説明は出来ませんが、最初に舞台に登場するのが『面箱』であります。


謡が始まり、その途中で『シテ』が面箱から面を取り出し、装着し・・・『翁の神』が登場するのです。

(最近BSで観てるのもので・・・つい、ウルトラセブンを思い出してしまいました。(^^;)



もちろん、この香合は中には面がありませんので、表面に置いてありますね。

では、中身はどうなってるかといいますと・・・


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艶やかな極彩色にて、高台寺紋様が描かれております。


この内側のクリーム色の仁清釉は、眞葛窯特有のもので味わい深い色調となり、絵付けを相まって新しくも、古い良さを併せて発現させるのです。


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表千家 即中斎の朱書きがあります。

これは、作品より後世に書かれております。

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内側底です。


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底部は無釉です。

斜めに線のようなものが見えます。

このような複雑な形状ですので、通常の型押しが出来ないので、なんと・・・型を斜めに分けて合わせて形成するのです。

香山作品は、出来ることから作るもの、を生み出すのではなく作るものの為に技を生み出すという傾向があります。


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大正後期頃の共箱です。

書付を取る際に底に回されて、屋楼箱を新調されております。

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この『翁』というものが何を指すのかは不明でありますが、『とうとうたらり』という演目の中で謡われるフレーズが住吉の神のフレーズにもあるようです。

翁で演じられる3つの神が、住吉の神であるという研究説もあるようで、すなわち翁は日本の神であるということで。



物語のはじまり、と終わりと意味するこの面箱は茶事では炭点前としての意味合いでも、単に神聖な茶会でも、お祝いの席でも、もちろん住吉さんに合わせて住吉蒔絵に合わせても楽しいかもしれません。


なにより・・・香山の香合とは、眞葛窯の人気である造形作品をミニマムに楽しめるアイテムとして、茶道具の形式を持ちつつもコレクターズアイテムとしても秀逸なのです☆



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      藤井香雲堂
 

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