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【花寄蒔絵 平棗】 [茶道具]

『棗の実』、皆様はご存じでしょうか?

もう今年は終わってしまいましたが、8月~10月下旬に成る果実です。


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「夏に芽がでる」ことからナツメ

「夏の梅」からナツメ

「夏の実」からナツメ


と所説有り、のようですが・・・・


この実に、似ていることから名付けられたのが皆様ご存じの『棗』という茶器です。


村田珠光が羽田五郎に作らせたものが最初期で、武野紹鷗なども大小の好み形があります。


利休時代に、一定の寸法と形状が定められ、その後千家を中心にバリエーションが生まれておりますが、元は『濃茶』のみで茶入しかなかったものから、『薄茶』の登場により生まれたアイテムで、室町から桃山時代に始まった様式です。


そのバリエーションのひとつ、に『平棗』というものがあります。


お点前としては、下ろすときの作法が増えますが・・・個人的には実は好きな手順です。

その、一呼吸置くような所作、が棗に対しての『敬い』感があるような気がするんです、よ。

そして、工芸的にも・・・平棗だと、面積が大きいためその意匠のデザインのキャンバスが広くなるので、より・・センスを求められる、というのもイイのです☆


そんな、『平棗』で珍しい意匠の優品をご紹介致します。




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【花寄蒔絵 平棗】



幅  8.7cm

高さ 5.8cm

大正~昭和初期頃




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研ぎ出し蒔絵に、様々な技法の蒔絵により、種々の花を描いております。



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『梅』 『桜』 『桔梗』は 高蒔絵にて。

『撫子』は 銀に螺鈿を。

『ひまわり』は 梨子地で。


連なるように、そして群れて離したり・・・・


その配置、はこれぞ日本的、ともいうべき美的センスです。

千家茶道具、とはまた違う観点からの意匠取りですね。


このような、無作(作家名の無い蒔絵作品)というものは往々にして、京都や加賀での有力漆器商が値を問わずは発注する豪家の依頼に対し、自身のセンスによるデザインとそれを実現出来る漆工・蒔絵師にそれに応じた製作依頼を行うという、『オーダーメイドプロデュース』により生まれるものです。

ですので、一品のみ、もしくは少数製作品となるものなのです。


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畳付き、や内側の梨子地も緻密です。

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大変薄造りの木地で、その形成力と素材の良さも求められます。



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御仕舞用の仕覆も添っており、大事に伝世してきた茶器です。


この時代のものですと、それ以前のやきもの、や以降のものとも親和性があるので、お使いやすい側面もあると存じます。


なにより、お洒落じゃないですか☆



※売却済みです。


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