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【眞葛長造 仁清写眞葛窯 手鉢】 [幕末京焼]

先日、名古屋出張の際に足を延ばして・・・東京へトンボ帰りで行ってきました☆

目的はこちら。


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『頭から離れない』なかなか、うまいキャッチコピーです。(笑)


実は、展示中の作品のうち結構な数が昨年に市場に出る機会があって、なんとか入手したいと昨年前半は木米木米木米~と研究をしていたので(結果収穫は僅かでしたが)、別の意味で?『頭から離れなかった』私です。


というのもあり、是非この展観は実見しておきたかったのです。


これまで、写真でしか見れなかったものや初見のもの、本当にボリューム溢れる展示内容でした。


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涼盧を超拡大にしたもの。 拡大しても破綻しないディティール。裏面の文字刻印も緻密なのです。


展観は、3月26日(日)迄でございます。


さて・・・『木米』といえば『江戸後期の京焼三大名工』として数えられます。

『木米』『仁阿弥』『保全』

古い文献になると、これが『潁川』『木米』『仁阿弥』となることもあります。

こちらは師事系統でのつながりもあります。


私自身は、常日頃・・・『茶陶』という観点と『幕末』ということから括りで、『仁阿弥』『長造』『保全』を三大名工と申しあげております。

やはり、木米さんはこれら3名に対しては時期は重複するものの、半歩先であったという感が否めないという気がするのです。



仁阿弥道八 (1783~1855) 

眞葛長造  (1797~1860) 

永楽保全  (1795~1854)


それぞれの作品や歴史等は、ちょくちょくJFKでもご紹介致しておりますね。


この3名に共通するのは、先代迄とは圧倒的に異なりある意味『初代』といっても良い技術革新と新たな窯の創造であったことが挙げられます。

しかし、『長造』につきましてはアカデミックな場や、書籍で触れられる機会が少なく・・・

一部の茶人さん方や、美術商の間でのみ人気の工人でありました。

図録等で取り上げられるようになってまだ30年程であり、単独展観ですら平成12年の茶道資料館での『茶の湯の京焼~眞葛長造~』が初のことでした。

これには、眞葛窯がおそらくはほぼ単独での稼働に近い規模であり、作品数が限られていたこと、そして千家ありきでの制作活動でなかったことが要因でしょう。

茶道具がメインでありながら、書付や好み物といった類等は意識せず己の美意識でのみ探求し続けたのが『眞葛長造』なのです。



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【眞葛長造 仁清写眞葛窯 手鉢】


幅    20.6cm×18.3

高さ   21cm

製作年代 江戸時代後期 (1850年頃)

共箱 当代極め添え書き




長造作品の中では、一番大きい部類に入ります。


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轆轤にて形成した鉢をに『繭形』に変形させ、さらに2か所窪ませた部分を『手付』の付け根としております。


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長造の技法の基幹を為す、『藁灰釉』と『銹絵』の魅力が発揮されております。

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造詣のバランス感覚が絶妙です。

『模仁清』でなく『仁清写』と記されており、野々村仁清のテイストにかなり寄せつつ自身の特徴を込めております。

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『壺々紋』を透かしによる意匠にて、3つを1組として配置し、双方2か所に施されております。


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造りはしっかりしており、あやうさを感じさせません。


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お菓子器としては、3~5つはいけそうです。

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珍しく、大判の眞葛印です。


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底部周りを箆にて篠木処理がされております。


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共箱です。


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当代の香斎さんの極めが側面に記されております。


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長造の茶陶は、あくまで『用に足る』ことを意識されており、見た目の派手さや技法だけを全面に出すような造りではなく、使いやすく・・また、使ったときにこそ良さが発揮するような意図が感じられることが多くございます。

『藁灰釉』のクリーム色ともやや青みも感じる優しい色調に、『銹絵』の侘びのある絵付け、そしてその上からも掛けられる釉薬によるにじみや濃淡による変化で、仁清の根本の美しさに迫るものがあります。


茶道資料館の文献にて、『長造の作陶は決して表面的な加飾を特色とするものではなく、作為を一歩ひかえ、繊細な細工で内包させているのである。その作品を仔細に見てゆくと、そこには長造の作品に対する極めて濃厚なこだわりがあり、そうしたこだわりが繊細な作品に存在感をもたせているのであろう。』と評されておりますのは、至って同感することろであるのです!


当店は、2023年の6月『名美アートフェア』と10月『東美アートフェア』にて、この辺を含んだ幕末国焼茶陶の特集を行う予定でございます。

作品もそれに向けて随時ご紹介して参りたいと思います。


※ご成約済みです。



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