【眞葛長造 模仁清ゆづり葉茶碗】 鵬雲斎大宗匠箱 [幕末京焼]
6月23日~25日に名古屋美術倶楽部にて開催されます『名美アートフェア』
昨年は、特集~『幕末京焼の煌き』の予定でご用意しておりましたが、有難いことに事前に数々ご成約を頂戴してしまい・・・特集展示が出来なくなってしまいました
今年こそは!とリベンジのつもりでおりましたが、いきなり図録掲載作品(長造 倣呉祥瑞茶碗)が刊行直後にご成約となってしまい、またしても?というところですが今回は、ちゃんと代わりの作品をご用意しております☆
ということで、名美AFの看板(代)のご紹介です。(^^;
【眞葛長造 模仁清ゆづり葉 茶碗】
幅 12.3cm
高さ 7.3cm
高台径 4.7cm
製作年代 江戸後期(1850年頃)
箱 共箱、鵬雲斎大宗匠箱、塗外箱(眼鏡)
野々村仁清、といえば寛永時代の煌びやかさが体現されたかのような『色絵』作品がイメージとして思い浮かべられることが多いと思います。
しかし、『轆轤』の技で無釉での造形を魅力としたものや、『銹絵』のみで『侘び』と『はんなり』を表現したものも仁清ならではのものです。
この作品は、後者に類するもので・・・・
江戸初期から停滞していた京焼が、江戸後期にふたたび百花繚乱のごとく技術革新と新たな陶工たちが登場する中、『仁清』の再来ともいえる名工が『眞葛長造』です。
まずは、作品をご覧いただきましょう。
意匠となる『ゆづり葉』は、成長した新しい葉を見届けるように古い葉が落ちることから、『世代交代』や『継承』を意味し、子孫繁栄の縁起ものとしてお正月飾りにもなりました。
『銹絵』による絵付けですが、やや光沢がかった部分もあります。
高取釉や天目釉のような感じです。窯変による発色でしょう。
眞葛窯の特徴でもある『藁灰釉』の柔和さに、単色の『鉄絵』を茶碗というキャンバスの中で自由に描かれており、右側のスッと伸びる生き生きしたものが『新葉』、左側のやや斜めにかすんだ感じのものが『古葉』を表しているのでしょうか。
茶碗の左右だけで・・・『時の移ろい』を感じさせるのです。
『動』と『静』
『生』と『死』
『有』と『無』
いづれも、表裏一体であり離して考えることはできないものです。
禅の心にも通じましょうか。
『青木木米』に師事し、京都『眞葛ヶ原』にて開窯した『眞葛長造』<寛政9(1797)~万延元(1860)年>は、彗星のごとく現れ活躍した『幕末京焼・三大名工』のひとりとして『仁阿弥道八』『永樂保全』と並び高く評されております。
徳川時代、初期京焼として現代に至る迄大きな影響を与え続ける『仁清・乾山』の伝統を完全に吸収、自身のセンスにて表現する作品を生み出し、『眞葛焼』なるものを確固たる評価の元に知らしめました。
その『精神性』や『技』は、四男である『虎之助』へと継承されます。
のちに、『初代 宮川香山』として世界にマクズウェアの名を轟かせました。
実は、『香山』の名を最初に名乗っていたのは『長造』です。
晩年期に『香山』号を使用しておりました。
全体としてはかなり希少な部類になる、『香山』記名の共箱です。
1850年~1860年の間の一期間であると思われます。
個人的研究ではその10年の内でも前期頃だと推測します。
先日、『100歳』を迎えられた『鵬雲斎大宗匠』の箱も有ります。
2つの箱を眼鏡タイプの塗外箱に仕舞われます。
長造作品は、『伊木三猿斎』も個人的に傾倒しており多数を自身の蔵へとコレクションしており、果てには香山を招聘し、庭焼きとして『むしあげ焼』の改良を指導を依頼するまでになります。
また、海外へは輸出されておりませんでしたが、『エドワード・S・モース』や『ジョルジュクレマンソー』が、日本にて長造作品を数多く求め、海外に渡ることとなりました。
現在では、米・ボストン美術館、カナダ・モントリオール美術館・イギリス・アシュモリアン美術館にも所蔵作品を見ることが出来ます。
茶人や、国焼愛好家の間では知られていた長造ですが、一般的にはメジャーとまではいえません。
それは『知る人ぞ知る』という存在で愉しまれていたことと、数が多いようで少ないことも要因です。
陶工を多数使って大規模に製作していた窯ではなく、あくまで本人による単独アーティスト的であったのでしょう。
平成に入ってから『茶道資料館』にて開催されたのは単一展観としては初でした。
この作品はいわば、『零代・香山』といえるものです。
今ではメジャーな眞葛香山の再評価もわずか20年程前からのスタートです。長造の再評価は、まだこれからなのかもしれません。
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Journal of FUJII KOUNDO 《問い合わせ先》
藤井香雲堂
TEL 090-8578-5732
MAIL fujii-01@xc4.so-net.ne.jp
※当ブログはPC用サイトでの閲覧を推奨しております。
スマートフォンでご覧頂く場合もPC用表示をご選択下さい。
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昨年は、特集~『幕末京焼の煌き』の予定でご用意しておりましたが、有難いことに事前に数々ご成約を頂戴してしまい・・・特集展示が出来なくなってしまいました
今年こそは!とリベンジのつもりでおりましたが、いきなり図録掲載作品(長造 倣呉祥瑞茶碗)が刊行直後にご成約となってしまい、またしても?というところですが今回は、ちゃんと代わりの作品をご用意しております☆
ということで、名美AFの看板(代)のご紹介です。(^^;
【眞葛長造 模仁清ゆづり葉 茶碗】
幅 12.3cm
高さ 7.3cm
高台径 4.7cm
製作年代 江戸後期(1850年頃)
箱 共箱、鵬雲斎大宗匠箱、塗外箱(眼鏡)
野々村仁清、といえば寛永時代の煌びやかさが体現されたかのような『色絵』作品がイメージとして思い浮かべられることが多いと思います。
しかし、『轆轤』の技で無釉での造形を魅力としたものや、『銹絵』のみで『侘び』と『はんなり』を表現したものも仁清ならではのものです。
この作品は、後者に類するもので・・・・
江戸初期から停滞していた京焼が、江戸後期にふたたび百花繚乱のごとく技術革新と新たな陶工たちが登場する中、『仁清』の再来ともいえる名工が『眞葛長造』です。
まずは、作品をご覧いただきましょう。
意匠となる『ゆづり葉』は、成長した新しい葉を見届けるように古い葉が落ちることから、『世代交代』や『継承』を意味し、子孫繁栄の縁起ものとしてお正月飾りにもなりました。
『銹絵』による絵付けですが、やや光沢がかった部分もあります。
高取釉や天目釉のような感じです。窯変による発色でしょう。
眞葛窯の特徴でもある『藁灰釉』の柔和さに、単色の『鉄絵』を茶碗というキャンバスの中で自由に描かれており、右側のスッと伸びる生き生きしたものが『新葉』、左側のやや斜めにかすんだ感じのものが『古葉』を表しているのでしょうか。
茶碗の左右だけで・・・『時の移ろい』を感じさせるのです。
『動』と『静』
『生』と『死』
『有』と『無』
いづれも、表裏一体であり離して考えることはできないものです。
禅の心にも通じましょうか。
『青木木米』に師事し、京都『眞葛ヶ原』にて開窯した『眞葛長造』<寛政9(1797)~万延元(1860)年>は、彗星のごとく現れ活躍した『幕末京焼・三大名工』のひとりとして『仁阿弥道八』『永樂保全』と並び高く評されております。
徳川時代、初期京焼として現代に至る迄大きな影響を与え続ける『仁清・乾山』の伝統を完全に吸収、自身のセンスにて表現する作品を生み出し、『眞葛焼』なるものを確固たる評価の元に知らしめました。
その『精神性』や『技』は、四男である『虎之助』へと継承されます。
のちに、『初代 宮川香山』として世界にマクズウェアの名を轟かせました。
実は、『香山』の名を最初に名乗っていたのは『長造』です。
晩年期に『香山』号を使用しておりました。
全体としてはかなり希少な部類になる、『香山』記名の共箱です。
1850年~1860年の間の一期間であると思われます。
個人的研究ではその10年の内でも前期頃だと推測します。
先日、『100歳』を迎えられた『鵬雲斎大宗匠』の箱も有ります。
2つの箱を眼鏡タイプの塗外箱に仕舞われます。
長造作品は、『伊木三猿斎』も個人的に傾倒しており多数を自身の蔵へとコレクションしており、果てには香山を招聘し、庭焼きとして『むしあげ焼』の改良を指導を依頼するまでになります。
また、海外へは輸出されておりませんでしたが、『エドワード・S・モース』や『ジョルジュクレマンソー』が、日本にて長造作品を数多く求め、海外に渡ることとなりました。
現在では、米・ボストン美術館、カナダ・モントリオール美術館・イギリス・アシュモリアン美術館にも所蔵作品を見ることが出来ます。
茶人や、国焼愛好家の間では知られていた長造ですが、一般的にはメジャーとまではいえません。
それは『知る人ぞ知る』という存在で愉しまれていたことと、数が多いようで少ないことも要因です。
陶工を多数使って大規模に製作していた窯ではなく、あくまで本人による単独アーティスト的であったのでしょう。
平成に入ってから『茶道資料館』にて開催されたのは単一展観としては初でした。
この作品はいわば、『零代・香山』といえるものです。
今ではメジャーな眞葛香山の再評価もわずか20年程前からのスタートです。長造の再評価は、まだこれからなのかもしれません。
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2023-05-23 11:57
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