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【三代 高橋道八 赤樂栄螺 蓋置】 [幕末京焼]

歴代『高橋道八』では・・・やはり、どうしても2代目であります、『仁阿弥道八』に注目が集中しがちであります。

実際、当店でも道八では仁阿弥が取り扱いのほとんど、と言っても過言ではありません。

しかし、後代でもなかなかのモノもあります。

特に三代では、正直・・・仁阿弥にひけを取らない優品の多さが目立ちます。


2014年、サントリー美術館で開催された『天才陶工 仁阿弥道八』展の『第7章』に於きましては、『仁阿弥道八』と『三代』の同じテーマの作品を比較展示しておりましたが、いずれもレベルとしては遜色なく、それでいて共通するテイストを保ちながら・・・それぞれの個性が発揮されているのを感じました。


道八家は、実は初代より『樂焼』に良さがあるというのはあまり知られておりません。

概ね、お茶碗ばかりとなるのですが・・・本樂見紛うもの、違えども良きもの、が存在します。

今回ご紹介しますのは、「お茶碗」ではないのですが、なかなかの佳品なのです。



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【三代 高橋道八 赤樂栄螺 蓋置】


幅    7x6.4cm

高さ   4.3cm

製作年代 天保13(1842)~明治7(1874)年頃

箱    共箱





三代道八は、『高橋光英』といい、文化8(1811)年に生まれました。


丁度、仁阿弥道八が、『粟田口』から『五条坂』へ窯を移した年です。


その後、父の元で修行を重ね・・・文政10(1827)年の紀州御庭焼『偕楽園』へ赴いた際にも、また天保3(1831)年の高松藩主の招聘による『讃窯』築窯も同行し、天保13(1842)年には伏見桃山へ隠居した父に代わって、家督を継ぐことになるのです。


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見事な赤樂による蓋置で、『窯変』の景色も抜群です。


これは『栄螺』蓋置で、『利休七種蓋置』のひとつとなります。



『火舎香炉』


『五徳』


『三葉』


『一閑人』


『蟹』


『栄螺』


『三閑人』


利休といいつつ、武野紹鴎による選定もあったりとするようですが。

小さな香炉を転用したという『火舎(穂屋)』や、書院茶の頃からの『墨台』を流用した蟹というものもあります。『栄螺』は本物の内側に金箔を貼ったものが最初という説も。

これらの蓋置が元となり、利休時代に『竹蓋置』が用いられるようになるのです。


七種は唐銅のものが基本となっておりますようですが、江戸時代になってやきもので模した作品たちが生まれました。

書院 ⇒ 小間 (棚無し) ⇒ 広間 (棚) と茶道の主流が移り行く中で、道具も変遷していく様です。


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けっこう、しっかりした造りと焼で、あやうい感じが全くありません。

突起部も、下手したら・・・永楽のものより丈夫な感じです。

もちろん、本樂よりも。

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フォルムも色も良し、なのです。


三代道八 栄螺蓋置 (7)-1.jpg


印はこのように・・・内側に押印されております。


三代道八 栄螺蓋置 (1)-1.jpg


三代道八 栄螺蓋置 (2)-1.jpg


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共箱です。

おそらく、幕末期のものでしょう。



※ご成約済みです。



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