SSブログ

眞葛長造 古染付写 銀杏香合 [新入荷]

先日の保全の蔵六亀香合もそうでしたが、もう1点・・・逸品の香合をご紹介致します。

DSC09843-1.jpg

眞葛長造 古染付写 銀杏香合


長造は、仁清の再来ともいわれ幕末に活躍した名工であります。

保全・仁阿弥・長造は幕末の京焼3傑とも言って過言ではありません。

3者とも様々な作品を生み出しておりますが・・・敢えて、一言で表すと。

『繊細丁寧な保全』、『ざっくりと味わいの仁阿弥』、『モダンな優美さの長造』

とでも言いましょうか。

長造はほぼ茶陶のみの作品で、さらに京都に戻ってからの活躍期間が意外と長くないのと、おそらくは工房的ではなく自身を中心としてほぼ1人での製作に近かった為、作品数は多くありません。

その中で香合だけ数があるようにみえますが、かなりの確率で贋作が多く世に出回っております。


今回ご紹介する呉須銀杏香合は型物香合で西方前頭 2段目3位にあります。

明時代末に日本からの注文によって中国南部にて製作されました。

他にも染付銀杏香合といって明るめの色調で山水や蜘蛛の巣を描いたものも有名で、こちらも西方2段目19位にあります。

DSC09842-1.jpg

この香合や木瓜香合などの特徴として、蓋と身の側面の高さがほぼ同じということがフォルムとして他の香合との大きな違いです。

そのことにより、側面への意匠の書き込みがしっかりでき、趣きが深まります。

DSC09844-1.jpg

銀杏というのは、あくまで形状デザインのモチーフで、銀杏の時期に使う為という意味の意匠ではありません。その為、絵柄は竹になっております。

小堀遠州による洒脱なデザインと言われております。

DSC09845-1.jpg

当時は京焼でも呉須の取り扱いが一定のレベルに達しており、五条坂近辺の陶工において染付作品が多数生み出されております。

長造作品の中では染付作品は少ないのですが、この発色と絵付けの見事さは本歌以上の素晴らしさがあるかもしれません。

DSC09846-1.jpg

蓋裏に書き銘がございます。 拝見でもご覧いただけますね。

DSC09840-1.jpg

古染付写し となっております。

実際には呉須写し、となるのですがその辺は今と違って曖昧だったのでしょう。

畠山記念館に所蔵されているものに近い意匠です。

DSC09841-1.jpg

私はこの、大丸印、に入れ込みました。(^^;

このタイプの印は非常に珍しいのです。しかも香合という小さいアイテムに押されることは他に類例を見受けられません。

かなりの自信作であったことが伺えます。

長造は京都数奇者様方や、茶道具商の間では古来より人気でありましたが、その稀少性や資料の少なさから、名前だけは知られるものの、美術の世界ではややマイナーな存在でした。

平成12年に京都の茶道資料館に「茶の湯の京焼 ~眞葛長造~」が開催されたのが初の展観でありました。
(以外にも仁阿弥道八も数年前のサントリー美術館が初でした)

その後、今年の岡山県立博物館と、京都茶道資料館にて開催されました「むしあげ」展で香山のルーツとして長造の逸品群をきちんと紹介されたのも記憶に新しいところです。

DSC09842-1.jpg

長造の晩年に近い作品になります。


眞葛長造

1797(寛政9年)~1860(万延元年)

若くして青木木米の弟子として作陶生活に入る。後、眞葛ヶ原に開窯。
(木米は潁川の弟子ですが、他にも長造の父・長兵衛にも師事しておりました。)

卓越した製作技術を持ち、独特の成形センスと、藁灰釉を筆頭にした上品で味わいのある釉薬を自在に操り、仁清の意を本歌以上に雅味のある作品を生み出した。

明治期、世界に名を轟かせた宮川香山(眞葛香山)は長造の子である。



※ ご成約済です。


nice!(1)  コメント(0) 

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。