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【二代 眞葛香山 南蛮意海老耳付 花瓶】 [宮川香山 眞葛焼]

釉薬の魔術師として世界中で評価された、香山の眞葛窯でしたが・・・

さて、釉薬を使わない作品はどうなのでしょう?

初代、二代でそういう作品が存在します。



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【二代 眞葛香山 南蛮意海老耳付 花瓶】


製作年代 昭和初頭 (1926~1930)頃


サイズ  幅 22.7㎝ 高さ 19.8㎝



香山の眞葛窯としての初代は、長造です。

長造は京焼の古典を見事に江戸時代後期に自身のテイストを込めて蘇らせました。

その中で、信楽の土を使う技法があります。

仁清でも仁清信楽というものがあり、素焼きであるがゆえに・・・あくまで、轆轤と、造形のセンスのみで勝負するという、孤高の作品です。

仁清のものは、花入や水指が・・・きれいな轆轤目で縦にシャープなデザイン、輪花口をこまやかに手で形成するという上品なものでした。


この香山の作品は、『南蛮意』です。


中国王朝が,中華思想によって,四方の異民族を蛮族と考え,東夷,西戎,南蛮,北狄と呼んだことに倣い、日本でも渡来する南方からの人たちを南蛮人と呼びました。

初めは,シャム,ルソン,ジャワなどの東洋人がそう呼ばれていましたが、16世紀中頃からポルトガルやスペイン人のことも呼ぶようになります。

ここでの、南蛮意はアジア圏の方のやきもの風であるということです。

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非常に端正な形状です。轆轤の力量が際立ちます。

2代香山は轆轤挽きに関してはことのほかうるさかったと、伝わります。

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アクセントに両側の耳として、海老の造形があります。

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初代も遺作として、南蛮意作品を遺してましたが・・・形状などはワイルドです。

やさしい、まじめな感じは二代ならではです。


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海老の髭がのびやかに描かれております。

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反対側より。


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内側、は施釉され水漏れ対策がされております。

という・・・見えない部分なのに!

良くご覧ください。 

窯変釉をきっちりと。

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そとが無釉なのに、覗き込むと・・・窯変釉で、釉薬もすごいねんで、とアピっております。

二代香山、窯変についても一家言遺しております。

『窯変、窯変と昨今言ってる輩が多いが、そのほとんどは偶然の産物に頼ったものばかり。窯変というものは自身でコントロールしてこそ、の窯変である。』

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下部の方は、炎の緋色が見どころとなっております。

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底面に瓢箪印(大)があります。

これは初代から使われております。


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薄造りで素焼きな為、石はぜが微小あるのは愛嬌です。


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蛍光灯、白熱灯、自然光・・・それぞれの下で違う顔を見せるのも、この作品の特徴です。


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二代は、初代の名代として欧米に渡ったのですが、作品も一緒に渡っており、ヴィクトリア&アルバート博物館やアシュモリアン美術館など海外の多くの美術館に所蔵されています。


明治期は高浮き掘り、や釉下彩による日本の絵付けが『ジャパン』でありましたが、こういう作品こそ『日本的』であるともいえましょう。



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