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【仁阿弥道八 桃山窯 桐葉 鉢】 共箱 九代極め外箱 [幕末京焼]

『造形もの』、というと・・・いわゆる京焼の茶陶の中でも希少な部類となります。


ひとことで言ってしまうと、京焼というのは『絵付け』命な面があることは否めません。

(それが故に、陶器主流で磁器モノは江戸後期迄待たねば、ならくなったのかもしれませんが)


幕末京焼3巨塔のひとり、仁阿弥道八は・・・その江戸京焼の色絵もばっちりこなしながら、楽焼や造形・・・彫塑的なモノまでその才能を遺憾なく発揮しました。

それは、保全や長造といった純茶陶を中心とした陶工とは一線を画す部分であります。


また、寺院等との親交の深さから、おそらく目にする古陶磁の名品の量も多く、そして各地に招かれお庭焼などにも参画したことから、技術以上のなにかも備えていた人物であったであろうことは推測に易いです。

そういう幅広いインプットからくる、アウトプットは独自の愉しさを感じさせてくれます。


さて、今日のご紹介はそんな道八の逸品のひとつです。




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【仁阿弥道八 桃山窯 桐葉 鉢】


幅  19.8㎝×19.3㎝

高さ 5.3㎝


製作年代 天保13(1842)年~安政2(1855)年頃


共箱 九代極め外箱




仁阿弥道八は、天保13年・・・息子の光英に代を譲り、自身は伏見桃山へ隠棲致しました。


隠棲といっても、『桃山窯』というのを築いて、まだまだ製作するのですが。(^-^;


仁阿弥、60歳の時です。


過飾な部分からそぎ落とし、桃山御本といわれるシンプルかつ上品な作品などを、シンプルが故に技とセンスの差が出るという境地なのです。


この作品も、桃山窯時代ならではの代表作です。


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葉の形ですが、そこに釉薬の妙で陰影を出し・・・葉の生きている感じ、そして移ろう季節のはかなさを感じさせるようになっております。


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陶土を板状にしたあと、各部を形成するのですが『鉢』としての用を守りながら、わずかなアクセントを自然につけて造形モノとしての魅力を出してます。

かっこいいのです。


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この文様は、研究によるとホンモノの葉を押し付けて葉脈を表現したようです。

瓢箪の『桃山』印が見えますね。



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裏側は、もう仁阿弥節・・・全開です。(笑)

この刷毛目、この足の造形、だれが見てもそれと解る仁阿弥様式です~


『仁阿弥』小印です。


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共箱 甲側です。


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共箱 裏側です。

朱の印肉にて押印されております。



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外箱として、当代の9代の極めがございます。


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2014年~2015年にサントリー美術館で開催された、仁阿弥道八展ではボストン美術館所蔵による同手作品が展示されました。


サイズはほぼ一緒です。

今回の作品の方が、上釉のかかりが良いかもしれません。



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この頃、永楽家の方でも保全が隠居したりと、巨星たちの晩年期となりさらに京焼が円熟していくのですが・・・・

安政2(1865)年、仁阿弥道八は七十三年の人生に幕を下ろしました。


この頃、日本は大変な大地震が多発し、仁阿弥が無くなった後には江戸幕府崩壊の引き金となる、安政の大獄(安政5年)および、桜田門外の変(安政7年)も起こるという大変な時代でありました。

しかし、京焼の火は消えることなく…巨星たちの継承者がそれぞれ奮起して、今の時代迄…その灯火を燃やし続けているのです。


※御成約済みです。



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