【永楽和全 祥瑞四方入角重 喰籠】 (※加筆修正しました。) [幕末京焼]
皆様、お盆休み、いかがお過ごしでしょうか。
この時期には見たことのない悪天候続きと、コロナの状況悪化の中・・・おこもり、で自粛されてる方も多いと存じ上げます。
かくいう、私もそんな感じではありますが。
いつもは、文章が閃いて!からしかご紹介いたしませんのですが、たまには「ストイックな商品紹介」もしてみましょう。(⇒と、思いましたが・・・我慢しきれず、書き直しました。(-_-;) )
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幕末期の「染付」のおすすめです。
【永楽和全 祥瑞四方入角重 喰籠】
幅 12.5cm
高さ 20cm
製作年代 1852年(嘉永5年)~1865年(慶応元年)頃
共箱
大変、珍しい作品です。
いわゆる、縁高のサイズより小ぶり、な感じですが・・・その染付の具合と、角なのにどこでも合わせられる程の端正な焼成は見事としか言いようがありません。
「小ぶり」、ではありますが盛り付け面が狭くなるだけで、「高さ」は有るのです。
お菓子の高さは変わりませんからネ。
そこで、そのタワーを和全がどう「料理」したのか、見てまいりましょう☆
側面からみると・・・その祥瑞手による濃い呉須により、描かれている文様は・・・
天から地へと順になっているのが見て取れます。
個人的には古い洋画等で描かれている宗教画のようにも感じます。
真四角、であれば「段重」は「漆器」と同じになってしまいます。
ここは、自由に形状を表現できる「やきもの」の利点を活かした工夫がなされております。
「入り角」という手法で、四隅をアクセントつけており、このことでデザインの印象がより造形的に、そして実際よりも「小さく」見せる効果が出ております。
小ささ、を売り物にしつつ「用」をも得る為に必要な面積も確保しないといけないわけですが、どうぜならもっと小さく見せたほうが『おもろい』のです。
蓋面は「円相に碁打ち図」となっております。
これは『爛柯(らんか)』と呼ばれ・・・囲碁のことを意味します。
中国の複数の故事には、仙人が碁を打っていると、実際には数十年・数百年の年月が流れていた、という話が伝わっております。
このことから、この意匠というのはおそらく、「長寿」や「仙人の徳」を現すものとして認識されているのでしょう。
染付の香合でも存在しますね。
蓋裏には、『河濱支流』印があります。 やはり逸品の証です。
ぐるっと、見回してみましょう。
この時代の永楽で、「染付」でなく「祥瑞」と記されるのはかなりの自信作です。
呉須の発色はもちろん、絵付けについても。
碁打ち人物、龍、柘榴・・など、祥瑞文様の代表的なものが。
縁起・吉祥・子孫繁栄・不老長寿、が込められております。
一番下の段の絵付けでは、経を詠む人、蛙を捕まえる人など4人の人物が描かれております。
「蛙」は「金運」を現しており・・どうやら、この段の絵付けにも何やら、意味が込められているようですが、まだ全部を解明出来ておりません。(*_*;
こういう、謎かけを主客で語り合う、楽しみというものがこの作品が生まれた時代背景にある、文人墨客というものです。
現代でのわかりやすい絵付け、季節の絵付け、とは異なる思想の元に生まれているのです。
では、段重を展開してみましょう。
4つのパーツから、構成されます。
なんと、順番を入れ替えてもぴっちり合わさります。
角形でもやきものできれいに焼成するのが、難しいのに入り角でここまで端正に造るのはなかなかです。
主菓子、を盛り付けるのであれば各段に1つづつ、という縁高のような盛り方がカッコいいかと思いますが、小ぶりの主菓子を3つ盛りにしてみたり、段ごとに異なる菓子での演出なども楽しそうです。
また、最近のコロナ禍の手法として・・・完全消毒済みの「亭主」がみなさまの前で、段を展開して「取り分け」るというのも、席中でのひとつの点前の流れとしても面白いかも、です。
一番下の底部に書き銘があります。
共箱です。側面から出し入れする「差し込み蓋」です。
底に引き出し台でせり出すようになっております。
これは、とても深い蔵からの出物で・・・お使い用としても愉しめるモノですが、コレクションアイテムとしてもナカナカなのです。
※御成約済みです。
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Journal of FUJII KOUNDO 《お問い合わせ先》
TEL 090-8578-5732
MAIL fujii-01@xc4.so-net.ne.jp
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この時期には見たことのない悪天候続きと、コロナの状況悪化の中・・・おこもり、で自粛されてる方も多いと存じ上げます。
かくいう、私もそんな感じではありますが。
いつもは、文章が閃いて!からしかご紹介いたしませんのですが、たまには「ストイックな商品紹介」もしてみましょう。(⇒と、思いましたが・・・我慢しきれず、書き直しました。(-_-;) )
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幕末期の「染付」のおすすめです。
【永楽和全 祥瑞四方入角重 喰籠】
幅 12.5cm
高さ 20cm
製作年代 1852年(嘉永5年)~1865年(慶応元年)頃
共箱
大変、珍しい作品です。
いわゆる、縁高のサイズより小ぶり、な感じですが・・・その染付の具合と、角なのにどこでも合わせられる程の端正な焼成は見事としか言いようがありません。
「小ぶり」、ではありますが盛り付け面が狭くなるだけで、「高さ」は有るのです。
お菓子の高さは変わりませんからネ。
そこで、そのタワーを和全がどう「料理」したのか、見てまいりましょう☆
側面からみると・・・その祥瑞手による濃い呉須により、描かれている文様は・・・
天から地へと順になっているのが見て取れます。
個人的には古い洋画等で描かれている宗教画のようにも感じます。
真四角、であれば「段重」は「漆器」と同じになってしまいます。
ここは、自由に形状を表現できる「やきもの」の利点を活かした工夫がなされております。
「入り角」という手法で、四隅をアクセントつけており、このことでデザインの印象がより造形的に、そして実際よりも「小さく」見せる効果が出ております。
小ささ、を売り物にしつつ「用」をも得る為に必要な面積も確保しないといけないわけですが、どうぜならもっと小さく見せたほうが『おもろい』のです。
蓋面は「円相に碁打ち図」となっております。
これは『爛柯(らんか)』と呼ばれ・・・囲碁のことを意味します。
中国の複数の故事には、仙人が碁を打っていると、実際には数十年・数百年の年月が流れていた、という話が伝わっております。
このことから、この意匠というのはおそらく、「長寿」や「仙人の徳」を現すものとして認識されているのでしょう。
染付の香合でも存在しますね。
蓋裏には、『河濱支流』印があります。 やはり逸品の証です。
ぐるっと、見回してみましょう。
この時代の永楽で、「染付」でなく「祥瑞」と記されるのはかなりの自信作です。
呉須の発色はもちろん、絵付けについても。
碁打ち人物、龍、柘榴・・など、祥瑞文様の代表的なものが。
縁起・吉祥・子孫繁栄・不老長寿、が込められております。
一番下の段の絵付けでは、経を詠む人、蛙を捕まえる人など4人の人物が描かれております。
「蛙」は「金運」を現しており・・どうやら、この段の絵付けにも何やら、意味が込められているようですが、まだ全部を解明出来ておりません。(*_*;
こういう、謎かけを主客で語り合う、楽しみというものがこの作品が生まれた時代背景にある、文人墨客というものです。
現代でのわかりやすい絵付け、季節の絵付け、とは異なる思想の元に生まれているのです。
では、段重を展開してみましょう。
4つのパーツから、構成されます。
なんと、順番を入れ替えてもぴっちり合わさります。
角形でもやきものできれいに焼成するのが、難しいのに入り角でここまで端正に造るのはなかなかです。
主菓子、を盛り付けるのであれば各段に1つづつ、という縁高のような盛り方がカッコいいかと思いますが、小ぶりの主菓子を3つ盛りにしてみたり、段ごとに異なる菓子での演出なども楽しそうです。
また、最近のコロナ禍の手法として・・・完全消毒済みの「亭主」がみなさまの前で、段を展開して「取り分け」るというのも、席中でのひとつの点前の流れとしても面白いかも、です。
一番下の底部に書き銘があります。
共箱です。側面から出し入れする「差し込み蓋」です。
底に引き出し台でせり出すようになっております。
これは、とても深い蔵からの出物で・・・お使い用としても愉しめるモノですが、コレクションアイテムとしてもナカナカなのです。
※御成約済みです。
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Journal of FUJII KOUNDO 《お問い合わせ先》
TEL 090-8578-5732
MAIL fujii-01@xc4.so-net.ne.jp
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2021-08-14 10:03
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