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【永樂保全(善五郎) 祥瑞写沓形 酒飲】而全極め箱 [幕末京焼]

お正月には、おおいにお酒が進んだ御仁も多かったと存じます。

また、茶道界に於きましても・・・1月から2月にかけては『初釜』『初稽古』などでの『酒飯席』で盃を酌み交わすシーンも増えますね。

そちらでは、『引盃』が主役ですが。。

幕末京焼コレクターズアイテム、としても人気の高い『酒盃』と呼ばれる作品をご紹介して参りましょう。


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【永樂保全(善五郎) 祥瑞写沓形 酒飲】


幅    5.8cm

高さ   4.3cm

高台径  3.2cm

製作年代 文政10(1827)~天保14(1843)年頃

箱    17代永楽而全極め箱




文政年間に入り、『土風炉師』であった『西村家』の製作バリエーションの拡大を図った『了全』と『保全』は茶陶製作の為の釉薬研究や登り窯焼成を始めます。

文政7年頃には『交趾』や『青磁』の製作が可能となったようで、その技術力を見込まれたのでしょう、文政10(1827)年には『吸江斎』や『旦入』『仁阿弥』らの紀州徳川藩主『徳川治宝』の御庭焼の拡大に同行することになるのです。


以降、『交趾』作品の『永樂保全』として知られるようになるのですが、その次に手掛けたのが『染付磁器』であります。


当時、『仁阿弥道八』により京焼における染付磁器の完成が実現し、京染付の世界がスタートし始めたころでありました。


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ぐるっと見回してまいりましょう。


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松竹梅、や人馬、碁打ち人物、漁夫、山水・・・といった、唐国の古染付で見られる意匠が取り込まれております。


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一か所を窪ませて、やや『沓形』にしてあるのも祥瑞等の踏襲です。

永楽初期のやや軟質磁器の雰囲気により、染付といっても固く・冷たい感じになってないのもこの作品の魅力なのです!

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内側には『河濱支流』印が押印されております。


これは『大江竜珉』和尚に祐筆してもらった字を印に興したもので、保全の『策』によるものです。

以降、受け継がれてて『優品』『逸品』に押印される傾向があります。


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底には書き銘があります。


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17代永楽善五郎で、隠居後名『而全』の極め箱となります。


この作品は、作品や銘等から保全の『善五郎』時代と分析出来ますので、製作年代は『文政10(1827)~天保14(1843)年頃』となりますが、さらに言い伝えなどによる磁器焼成の年代も合わせると・・・天保12(1841)~14(1843)年とまで絞り込んでも良いかもしれません。


この時代の酒盃としては珍しく、『盃』形状ではなく『ぐい呑』形状であるところも嬉しい点なのです!


※ご成約済みです。


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