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【横井米禽 模長袴伊賀 花入】堀田宗達 箱 [茶道具]


『米禽伊賀』・・・・この言葉を一度は、耳にされた(目にした)方も少なくないかと思います。


『〇〇伊賀』という古伊賀焼の名称に倣って、誰かが言い始めた名称でしょう。


それほどまでに、『巧み』な伊賀焼を焼けているということなのです。


過去には、美術オークションにて古伊賀と見誤られたことがあった逸話もあるくらいです。


作者の名前は『横井米禽』。


大正から昭和初期に名古屋にて数々の名品を生み出した人です。


今回は、米禽による伊賀花入をご紹介致しましょう。


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【横井米禽 模長袴伊賀 花入】


幅    15cm

高さ   25.5cm

製作年代 大正13年~昭和16年頃

箱    共箱、堀田宗達 箱



堂々とした花入です。


背面もなかなかのミドコロで、どちらを正面にしたらよいものやら。。。


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『伊賀に耳あり、信楽に耳なし』という言葉があります。


しっかりとした耳が有ります。左右をやや異なる感じになって『ひょうげた』感じですね。


米禽 伊賀花入 (9)-1.jpg


上から。


米禽 伊賀花入 (10)-1.jpg


底部に入る、『手印』も古伊賀を模してます。

共箱には、『模 長袴』とされておりますように『長袴』という銘の古伊賀の写しのようです。



伊賀焼は約1200年前の天平年間(729~749年)に『伊勢神宮』の『神瓶』を作るため、伊賀の『丸柱寺谷』の地にて窯を築いたのが最初とされております。

農耕器具や生活雑器等も作られていたようですが、茶陶としてはそこからさらに遙かに時代が下り・・・天正12(1584)年、伊賀領主の『筒井定次』が『古田織部』との交流の中で、茶壷・水指・花入・・・そして、茶入といった茶器を製作させていたのが、今に伝わる伊賀焼の祖といえます。


高い温度で焼成することで溶けだしたビードロや焦げや火色の競演が、茶人達の人気を博すことになりました。


それらを、『筒井伊賀』と呼びます。


その後、少しの中断を経て・・・江戸時代初期の、寛永年間(1624~1644年)に『小堀遠州』による指導により、洗練された茶器である『遠州伊賀』が生まれます。

その後、『伊勢国津藩』の二代藩主となった『藤堂高次』により京都から陶工である『孫兵衛・伝蔵』を呼び寄せ茶器が造られました。

この時は『水指』が中心であったともいわれます。

これが『藤堂伊賀』です。


寛文9(1669)年に原料であった陶土の採取が禁止となると、伊賀の陶工は信楽へと移っていきったり、また、粗製乱造もあり、藤堂高次が元禄12(1699)年に没すると衰退してしまいました。


時を超えて、近代。

地元の有志と時の有力者により『古伊賀復興会』なるものが発足し、横浜より『二代 眞葛香山』を招聘し、当時の工人達への指導と製作を依頼。

大正12(1923)年に『古伊賀復興の儀』が執り行われ、現代へ続く伊賀焼へと続くのです。


話は長くなりましたが・・・・こののち、伊賀の土を取り寄せ、横井米禽が自身の腕と眼により作られた古伊賀焼写しが、この作品なのです。


香山贔屓であります私でも、米禽作品の方に軍配が上がると思います。(^^;


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箱です。


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底部、共箱部分です。


米禽 伊賀花入 (2)-1.jpg


米禽 伊賀花入 (3)-1.jpg


蓋の甲・裏と名古屋の遠州流茶人でありました、『堀田宗達』の書付が有ります。


堀田宗達は、遠州流の家元主鑑であり目利きであったといわれます。

米禽と同時代の人です。


横井米禽は、明治19(1885)生まれ、昭和16(1941)年没。


元は古美術商であったのですが、『夜寒焼』に出入りし陶芸を志し・・大正13(1924)年に『東雲窯』を買い取り、自身の製作活動をスタートさせます。

その作風は古今の様々なやきものを自在に写し、自身の美意識を内包させるものでありました。

『眼』と『技』が磨かれた稀有な存在であり、また作られるものが『茶の用』に足るものが多かった為に『米禽焼』として名古屋を中心に広く愛されることとなったのです。

その中でも別格なのが、『米禽伊賀』なのです。



上の画像をは少し、アングルを変えてみると・・・また花入の印象も異なりますので、どうぞ☆


米禽 伊賀花入 (6)-1.jpg


米禽 伊賀花入 (8)-1.jpg


堂々とした風格です。


これまで扱った・観た・・米禽伊賀花入の中でも上クラスといっても過言では有りません。

ぜひ、お勧めいたしましょう☆

※御成約済みです。


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