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【備前 伊部手一重口 水指】 [国焼(地方窯)]

先日は『満月』の『仲秋の名月』でした。

次は7年後とか。

ちゃんと、見れました見れました。しかし~カメラではうまく撮れないんですよね~(素人[あせあせ(飛び散る汗)]


そんな、秋の夜長に考えました。

『備前焼』


近代工芸、としてはそこそこきちんとした評価がありますが、茶道具としては・・・いまひとつ、地味なポジション。。。

日本古来のもので、中世より続く・・・六古窯のひとつに数えられます。

他の窯もそうですが、備前焼は貯蔵用のやきものとして壺や甕、擂鉢や皿・碗、そして瓦などを作っており・・・備前の国にて需要が満たされておりました。

もちろん、消耗品として。


室町時代後期より、唐物を中心とした、『武家茶』として茶の湯の流行が興ります。


そうして広まるうちに、名物道具を中心にした武家や豪商の間で広まった茶の湯に対して、『侘数奇』が発生してきます。

『千利休』もその道です。

16世紀には『見立て』などで、侘び数寄者の間で『備前焼』を使いだした例が見られます。

壺を水指にしたものでしょうか。

その後、『唐銅』を写させたものなど茶道具として生まれた備前焼が登場し始めるのです。


室町時代では、まだ『備前焼を使うのは上級者である』とされる向きがあり、見どころのある道具として着目されつつある中、まだまだ広く評価されるまでのものではなかったようです。


その後、『小堀遠州』が備前焼を非常に、重用しております。

その辺から備前焼が茶陶として花開くのです。


『小堀遠州』の1628年~1644年の間の茶会記に登場する『備前焼』を数えてみました。(^^;


花入 4回

水指 51回

建水 17回 (このうち、7回は古備前とありますので、桃山期のものですね)

このうち、同時に登場してるときもあります。



こんなに備前焼を使ってる茶人は、ひょっとしたら岡山県人以外では皆無なのでは?!などと思ってしまうくらいに『推し』ております。


そして、遠州時代より端正な茶道具としての形状としての備前焼が登場し始めるのです。

おそらく指導が入ったのでしょう。


用途だけでなく、技法的なもの、見た目を重視したもの、そして釉薬を使わない代わりに意匠としての意図を表現できる、窯変なども多様されていくのです。



さて・・・今回、ご紹介致しますのは、そういった意匠化の技法のひとつであります、『伊部手』と呼ばれるものです。



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【備前 伊部手一重口 水指】


幅    16.5cm

高さ   14.7cm

製作年代 江戸時代 中後期頃

箱    伝世箱



扱いやすい、サイズ・形状。 そして魅せる景色の水指です。



伊部焼 一重口水指 (4)-1.jpg


くっきり出た轆轤目に、箆使いにてザクっと斜めに切り込んでおります。


『伊部手』は室町時代から存在した技法だそうですが、積極的に取り入れられたのは1610年頃、遠州時代以降とされます。


伊部焼 一重口水指 (5)-1.jpg


『胡麻』とよばれる発色が出ております。


伊部焼 一重口水指 (7)-1.jpg


伊部焼 一重口水指 (6)-1.jpg


内底に『窯切れ』が在りますが、水漏れはいたしませんのでご安心を。


伊部焼 一重口水指 (8)-1.jpg


『伊部手』とは、黒く発色する土を塗りつけて表面に彩りを意図する技法です。


胡麻の出方も、轆轤形成を全面に出す造り方も、茶の湯が大成して茶道具の需要が高まっていく中で、徐々に洗練されていったものです。


伊部焼 一重口水指 (9)-1.jpg


裏側もいい造りなのです。



伊部焼 一重口水指 (1)-1.jpg


全所有者は、丹波焼として使っていたようですが・・・


伊部焼 一重口水指 (2)-1.jpg


元はちゃんと、備前焼の伊部手として伝世していたものです。


令和2年、1か月半のみでしたが・・岡山県立博物館に於きましてとてもいい展観がございました。

『備前のある場所 ~取り合わせの魅力~』


これまでのように、備前焼を単体として紹介するのではなく、当時の取り合わせ・・・高麗や国焼などと併せることで、とても魅力あるものに映りました。


近年、あまり備前焼の茶道具を求める声が少ないように思います。

それは古いものはもちろん、近代の作家によるものでも。


しかし、それは『使い手』の理解と腕が無い為なのかもしれません。


奇しくも、室町時代に戻ってしまったかのようですね。(^^;




白熱灯の下では、また違う顔をしましたので、そちらもご覧頂き・・・本日の筆を置きたいと思います。


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Special Thanks Mr.shikone



※ご成約済みです。



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