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永楽善一郎(保全) 祥瑞柘榴振出 [新入荷]

永楽保全の逸品です。

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永楽善一郎(保全) 祥瑞柘榴振出

振出し、と言っても茶箱用ではありません。

サイズは高さ10.3㎝ 幅8.8㎝です。

元来は、高貴な方の注文品での菓子器として、あるいは飾り用として製作された特別注文品です。

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3面に松竹梅が描かれており、ふんわりと6角形の面になってます。

保全のこの柘榴形の振出しは有名なのですが、かなり稀少なものになります。

研究・収集家さまから伺った話と、各資料からも・・・

存在が確認されているのはわずかです。

一番有名なのは、昭和63年 「源氏五十四帖と永楽歴代展」(高島屋巡回)という即全の超逸品作品と歴代の珍しい作品を一同に会した展観で「金襴手柘榴振出し」が出展されました。

同じ個体が平成元年に「京都に於ける幕末の茶陶名工展」(京都美術倶楽部)にも展示されました。

他には、旧い陶器書籍にて染付柘榴振出しで、柘榴が大きく張り出していない意匠の物、同じような意匠で数年前に永楽善五郎歴代展(高島屋巡回)で「染付柘榴振出し」(山水図)があるのみです。

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当作品の特徴として、『祥瑞』表記とされている点と『善一郎』作である二点が挙げられます。

保全作品の全体を見渡してみますと、染付と祥瑞の二種類の表記作品があります。

染付の上がりの良さや意匠の気合?から区別はされてるようですが、三井家の所蔵品などを観ますと、後年になるほど技術が上がったからか、祥瑞作品が多数生まれています。

湖南作品でもその傾向が見られます。

ただ、高槻と湖南作品では甘い染付手も多く造られてますので、優品が生れる技術は上がったものの、窯の状態等により優品の割合は多くないのかもしれません。

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『善一郎時代』は、保全の慣熟期と言われます。

天保一四年(1843)~嘉永元年(1848)ですが、水野忠邦による天保の改革による奢侈禁止令により規制があった為、実際に製作されたのは弘化二年(1845)~嘉永元年(1848)の三年間の間であったと推測されております。

この作品のこの時期の作品で、他の時期に比べて丁寧に時間と手間をかけられた優品です。

大変希少な作品が故に、値は張ってしまいますが、形状と祥瑞の上がり、大きさも併せて・・飽きの来ない作品でコレクターズアイテムとしておすすめです。



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