【二代 宮川(眞葛)香山 仁清意振々形 香合 惺斎好み 七ツ之内】 [眞葛香山]
2022年元旦
あけましておめでとうございます。
昨年中は、皆様方の格別のお引き立てにより実り多い一年となりました。
お陰様で、新たな発見や自身でも気に入った作品を多数ご紹介することが出来、ここに厚く御礼申し上げます。
まだまだ、社会情勢も不確かな世の中ではありますが、こういう時こそ『茶道美術』の愉しみが与えてくれる潤いで、少しでも心のビタミンになれば、と思っております。
取り扱う私自身も、いち個人として同じ愉しみを共有することで、精神的な活力を頂いているのです!
どうぞ、本年も宜しくお願い申し上げます☆
藤井香雲堂 藤井和久
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
さて、新年一発目のご紹介にふさわしい作品です。
【二代 眞葛香山 仁清意振々形 香合】 惺斎好み 七ツ之内
幅 14.6cm×7.1cm 高さ 6.1cm
製作年代 大正12(1923)年
惺斎箱 共箱
『MAKUZU WARE マクズウェア』・・・初代の指導の元、総力を挙げて世界にその名を轟かせましたが、欧米にて自身が赴き、伝説的ともいえる香山の最高傑作をぶち割るという、前代未聞の事件の当事者であったのが、『宮川半之助』・・・のちの二代香山です。
その洋行は5度に及び、眞葛窯作品の啓蒙の傍ら、世界最先端のモード・技術を自身に取り込み、新たな眞葛香山の世界の構築に役立てたのです。
眞葛窯は、社会情勢に適応して『変化』に対応したことでも他の陶工・窯元の追従を許しませんでした。
大正時代、抹茶茶道の復権による需要を見据え、父(長平)・祖父(長造)の得意としたお家芸でもある『茶道具』を主力に据えることしたのです。
大阪の生方宗匠の縁で、表千家12代である『惺斎』宗匠の知己を得ることが出来、千家出入りとして『好み物』などを製作することになりました。
また同じ頃、大宮御所の注文のあったりと、初代晩年から主軸を移しつつあった茶道具製作はさらに軌道にのることになります。
もちろん、香山ですから・・・ただ、茶道具を作る・・といったものではなく、そこには確かな技術力と新しいセンスを盛り込んだ、他にはない作品を生み出すのです。
さて、この作品はブリブリ香合です。
元は、子供の節句の木製の玩具である『振々』が由来といわれます。
表千家の6代目である『覚々斎』(原叟)延宝6年(1678)~享保15年(1730)が、それを切って香合に見立てたのが最初だそうです。
古の昔、野々村仁清により振々香合がやきもので作られたものも存在します。(根津美術館蔵)
しかし、覚々斎の時代より前になってしまいます。
さて、どちらが先なのでしょう?
元々のブリブリも、おめでたい意匠が描かれているようで、古い風俗画では、子供がそれを紐を付けて振り回している様子が描かれております。
後に、車輪を付けて引っ張って遊ぶようにもなったようです。
しかし、もう1説あり・・毬杖 (ぎっちょう)という木製の 槌 をつけた木製の 杖 を振って、木製の 毬 を相手陣に打ち込む 遊び があったそうで、その道具となったのが 振々毬杖 (ぶりぶりぎっちょう)というそうです。その槌、がこの形状であったとか。
内側です。
蓋裏には、惺斎の朱書きが。
そして身の内側には青交趾の釉薬により、開けた際のアクセントと練り香の汚れを防ぐ用を為しております。
2重箱となっております。
本来は、この惺斎の箱のみとなっております。
これは、共箱はなく惺斎のみ、というのが当時の香山の好み物や同時期の書付作品のスタンダードとなっております。
『七つの内』となっております。
当店で取り扱うのは、これで2点目となります。
この作品には、外箱として共箱が添っている珍しいパターンです。
さて、ブリブリ香合の由来の伝承を整理致しますと・・・
木製のブリブリ香合は、2か所の細長い窪みがあります。
これは、ここに紐を通して振り回したり引っ張ったりする方のブリブリがルーツとなってるのを現しております。
仁清の香合は、橋の方に窪みが一か所天面にあります。 これは毬杖の方のブリブリの形状が元となっていることが推測できます。
おそらく、偶然に2つの見立て、から『振々香合』というものが誕生したのかもと思われます。
そして、この香山の香合はそのどちらにも属さず、テイストは仁清より、大きさは原叟より、それぞれの良さをミクスチャーして、新たな大正ロマンなお道具として生まれ変わらせたのです!
堂々とした存在感ですが、やさしい釉調と上品な絵付けにより、飾り物、として素晴らしい作品に仕上がっております。
お正月には、『魔除け』として振々香合を飾るという習わしもあるようです。
未だ、新型コロナウィルスは新たな変異株になって日常生活を脅かしております・・・
皆様への『魔除け』となることを祈念して、今年最初のブログを締めさせていただきたいと思います。
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Journal of FUJII KOUNDO 《問い合わせ先》
藤井香雲堂
TEL 090-8578-5732
MAIL fujii-01@xc4.so-net.ne.jp
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お陰様で、新たな発見や自身でも気に入った作品を多数ご紹介することが出来、ここに厚く御礼申し上げます。
まだまだ、社会情勢も不確かな世の中ではありますが、こういう時こそ『茶道美術』の愉しみが与えてくれる潤いで、少しでも心のビタミンになれば、と思っております。
取り扱う私自身も、いち個人として同じ愉しみを共有することで、精神的な活力を頂いているのです!
どうぞ、本年も宜しくお願い申し上げます☆
藤井香雲堂 藤井和久
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さて、新年一発目のご紹介にふさわしい作品です。
【二代 眞葛香山 仁清意振々形 香合】 惺斎好み 七ツ之内
幅 14.6cm×7.1cm 高さ 6.1cm
製作年代 大正12(1923)年
惺斎箱 共箱
『MAKUZU WARE マクズウェア』・・・初代の指導の元、総力を挙げて世界にその名を轟かせましたが、欧米にて自身が赴き、伝説的ともいえる香山の最高傑作をぶち割るという、前代未聞の事件の当事者であったのが、『宮川半之助』・・・のちの二代香山です。
その洋行は5度に及び、眞葛窯作品の啓蒙の傍ら、世界最先端のモード・技術を自身に取り込み、新たな眞葛香山の世界の構築に役立てたのです。
眞葛窯は、社会情勢に適応して『変化』に対応したことでも他の陶工・窯元の追従を許しませんでした。
大正時代、抹茶茶道の復権による需要を見据え、父(長平)・祖父(長造)の得意としたお家芸でもある『茶道具』を主力に据えることしたのです。
大阪の生方宗匠の縁で、表千家12代である『惺斎』宗匠の知己を得ることが出来、千家出入りとして『好み物』などを製作することになりました。
また同じ頃、大宮御所の注文のあったりと、初代晩年から主軸を移しつつあった茶道具製作はさらに軌道にのることになります。
もちろん、香山ですから・・・ただ、茶道具を作る・・といったものではなく、そこには確かな技術力と新しいセンスを盛り込んだ、他にはない作品を生み出すのです。
さて、この作品はブリブリ香合です。
元は、子供の節句の木製の玩具である『振々』が由来といわれます。
表千家の6代目である『覚々斎』(原叟)延宝6年(1678)~享保15年(1730)が、それを切って香合に見立てたのが最初だそうです。
古の昔、野々村仁清により振々香合がやきもので作られたものも存在します。(根津美術館蔵)
しかし、覚々斎の時代より前になってしまいます。
さて、どちらが先なのでしょう?
元々のブリブリも、おめでたい意匠が描かれているようで、古い風俗画では、子供がそれを紐を付けて振り回している様子が描かれております。
後に、車輪を付けて引っ張って遊ぶようにもなったようです。
しかし、もう1説あり・・毬杖 (ぎっちょう)という木製の 槌 をつけた木製の 杖 を振って、木製の 毬 を相手陣に打ち込む 遊び があったそうで、その道具となったのが 振々毬杖 (ぶりぶりぎっちょう)というそうです。その槌、がこの形状であったとか。
内側です。
蓋裏には、惺斎の朱書きが。
そして身の内側には青交趾の釉薬により、開けた際のアクセントと練り香の汚れを防ぐ用を為しております。
2重箱となっております。
本来は、この惺斎の箱のみとなっております。
これは、共箱はなく惺斎のみ、というのが当時の香山の好み物や同時期の書付作品のスタンダードとなっております。
『七つの内』となっております。
当店で取り扱うのは、これで2点目となります。
この作品には、外箱として共箱が添っている珍しいパターンです。
さて、ブリブリ香合の由来の伝承を整理致しますと・・・
木製のブリブリ香合は、2か所の細長い窪みがあります。
これは、ここに紐を通して振り回したり引っ張ったりする方のブリブリがルーツとなってるのを現しております。
仁清の香合は、橋の方に窪みが一か所天面にあります。 これは毬杖の方のブリブリの形状が元となっていることが推測できます。
おそらく、偶然に2つの見立て、から『振々香合』というものが誕生したのかもと思われます。
そして、この香山の香合はそのどちらにも属さず、テイストは仁清より、大きさは原叟より、それぞれの良さをミクスチャーして、新たな大正ロマンなお道具として生まれ変わらせたのです!
堂々とした存在感ですが、やさしい釉調と上品な絵付けにより、飾り物、として素晴らしい作品に仕上がっております。
お正月には、『魔除け』として振々香合を飾るという習わしもあるようです。
未だ、新型コロナウィルスは新たな変異株になって日常生活を脅かしております・・・
皆様への『魔除け』となることを祈念して、今年最初のブログを締めさせていただきたいと思います。
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